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夜明け前が最も暗い  作者: 富永 真一
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真行(さねゆき)

 

 川内市教育長の竹内悟子がが教育長室で顔を合わせた男松嶋真行まつしまさねゆきを小俣小の次期校長に内々に定めたのは二年前の夏である。悟子の主宰する国語の教授法のサークルに新卒の頃から熱心に顔を出していた松嶋真行まつしまさねゆきだったが、その春にインドの日本人学校への赴任期間三年を終え、久しぶりに再会した。以前から認めていた卓越した授業センスに加え、異国で練られたであろう感性が滲み出る自信となって全身から流れ出ているようだった。二十代の頃にはやや感じられた線の細さというものも既に感じられず、逞しさが感じられ見違えるほどだった。


悟子は真行が新卒から毎年2本のペースで執筆している教育論文の質の高さも評価していた。現場の教師としての実力だけでなく、教育を理論的に構築していく力に長けた指導的な立場でも充分生かされる能力を持ちえるポテンシャルも頼もしかった。竹内は様々な要素を兼ね備えていると真行を見ていたのである。


慣例的に七年間と定められている教育長としての在職期間の残り五年をかけて取り組む市の教育改革の先頭に、三十代半ばの松嶋真行を抜擢すると決心したのだった。その着任の時が三ヵ月後に迫っている。

「それだけですか?」

万吉はやや不満そうに言った。


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