ラジュライト(青金石)
0.25ct
パキスタン・ライラ産
(別種の可能性あり)
Lazurite
ラジュライト、ラズライト、ラズーライトなど
和名:青金石
硬度:5.0~5.5
分類/グループ:テクト珪酸塩/ソーダライトグループ
晶系/産状:等軸晶系/12面体
化学組成:Na 7 Ca(Al 6 Si 6 O 24 )(SO 4 )(S 3 ) 1- · H 2 O
2021年改訂
旧化学組成はNa 6 Ca 2 (Al 6 Si 6 O 24 )(SO 4 ,S,S 2 ,S 3 ,Cl,OH) 2
(この理想組成式の物は存在しないことが判明)
劈開:不完全
比重:2.38~2.45
屈折率:1.502~1.522
副屈折率:なし
分散度:なし~極微弱
蛍光(通常認識):なし
長波蛍光:なし
短波蛍光:なし
条痕:青
主な色:青、青緑、青みがかった緑
多色性:なし
発見年:1868年
登録年:1891年
改訂年:2021年
発見地:Malo-Bystrinskoe lazurite deposit, Malaya Bystraya River Valley, Slyudyanka, Lake Baikal area, Russia
(発見地は2021年の再定義の際の新基準標本の産地)
ラズーライト(天藍石)でも説明したように
英名の綴り上LとRの1文字しか違いがなく
発音上でも違いが非常に分かりにくく
カナ表記はさらに混乱を極め、
鉱物学・宝石学としては
天藍をラズーライト
こちらをラズライトまたはラジュライトと
することが多いが
ルースが出回るのは天藍の方が多い為に
天藍をラズライトとする場合もあり
カナ表記だけの場合はパッと見分けがつかず
さらに厄介なことに
ルースになるような青金石は
天藍石と産地がほぼ同じな為に
産地からの推察も不可能と非常に厄介。
以降はややこしいので和名記載。
青金石はラピスラズリの主要構成鉱物の一つで
ソーダライトグループに属し
アウインとも近しい存在であるが
化学組成の観点からも見た目からも、
読みも認識すらも混乱を極めた種で
元々は化学組成的なものではなく
不透明な真っ青なラピスラズリの
着色要因がこの青金石だと思われていたが
そこにこの青金石という名称はなく
全てラピスラズリと呼称され
数千年に渡って装飾品や
岩絵の具として流通してきていた。
ウルトラマリンと呼ばれる絵具は
このラピスラズリ由来の物。
ようやく表舞台に登場するのは
1868年のことで鉱物学者ダナにより
青金石ーカルサイトーパイライトを含んだ岩石、
いわゆるラピスラズリはこの結晶であるとされたが
ここでもまだ青金石という名称はなく
1891年にようやく青金石という正式な名称が与えられた。
ちなみに「ラピスラズリ」というのは
あくまでも通称名に過ぎず
文献初登場は1636年と非常に古く、
装飾品利用なども含め
さらに古い時代から利用されてきているが
鉱物学の観点からは岩石の一種となるため
IMA上に存在しない種であり
日本人に分かりやすい説明をすると
大理石や御影石と同じ立ち位置のものになります。
長々と解説はしてきたものの
大昔から認識されていながら
明確にされておらず
アウイナイトの亜種、アフガナイト亜種と認識されきて
公式な定義ですら実は理想式の物は存在しないと判明し
ようやく明確にされたが
再定義が2021年と非常に歴史が浅く
まだまだ浸透していない為
古い書籍には旧組成が載っている状態で
明確な正しい認識が持てている人が
非常に少ないのが実情。
ちなみに2021年の再定義以前の物は
硫化物の多いアウイナイト亜種であることが分かっており
青金石ではありませんでした。
その為最初に載せた写真の物も
入手はその定義前の物な為
成分分析をすると青金石とならない可能性が非常に高いものとなっています。
簡潔にまとめると
蛍光がある場合は基本的にそれはアウイン。
蛍光がなくてもドイツ産のアウインに代表されるように
非蛍光性アウインになる可能性がある事。
複屈折がある場合は別種の可能性大。
青金石だと認められるには
硫酸(Ⅵ)と3硫化物を陰イオンとして両方を含むものと
2021年に明確に再定義されています。
その為今現在写真などで多数見られる青金石は
純粋な青金石だと保証される物ではない。
近縁種を列挙するだけでも
ソーダライト、アウイナイト、ノゼアン、
亜種のハックマナイトと聞きなれた物から
晶系違いとしては
斜方晶系のウラジミリバノバイト(Vladimirivanovite)、
三斜晶系のスルジャンカイト(Slyudyankaite)
これらも報告がなされている。




