ハライト(岩塩)
PCA Mine, Carlsbad Potash Mining District,
Eddy County, New Mexico, USA
撮影当時1.23ct
Halite
ハライト(ハーライト)
rock salt,(ロックソルト)と呼ぶ場合は
主に食用の物を指す
和名:岩塩
硬度:2.0~2.5
分類/グループ:ハロゲン化鉱物/ハライトグループ
特記事項/水溶性
晶系/産状:等軸晶系/立方体、八面体、塊状、稀に柱状、鍾乳状、毛細管状など
化学組成:NaCl
劈開:1方向に完全
比重:2.1~2.6
屈折率:1.5443
副屈折率:なし
分散度:強め
蛍光(通常認識):あり
長波蛍光:基本なし
短波蛍光:基本オレンジ蛍光だが産地によっては青白蛍光。またはなし
中波蛍光:短波赤蛍光を示すものは中波でも同様の場合がある。
条痕:白
主な色:無色、白、ピンク、黄、赤、青、紫、緑、灰、黒など
多色性:強め
発見年:古すぎて不明
登録年:古すぎて不明
発見地:世界各国にあり不明
ハライトというとよほど鉱物好きでないと通じないが
和名の岩塩というと誰にでも分かる物で
その中でも食用ではない岩塩の事をハライトと呼び、
食用の岩塩にはロックソルトという呼び名を使う。
またこのハライトは和名にしてしまうと
同じ「岩塩」ではあるが、
鉱物標本として売られている物は
食用の検査を受けていない為
有毒成分が混じっている可能性があるため
舐めてみるのはやめた方が無難。
どうしても試してみたい場合は
絶対に飲み込まず
すぐに口をゆすぎ飲み込まないことを
徹底する必要がある。
塩であるのでもちろん水溶性の為に
ファセットカットのルースというのは
狂気の沙汰であり、
どれだけ気をつけて保存しようとしても
いずれは溶けてなくなる悲しい運命にある。
その為に溶けてきて白濁したら店が存続する限り
再研磨を行うという約束付のファセットカットルースで、
再研磨しやすいように
最小限のファセット面数で研磨されている物となります。
また最初のブルーハライトですが
重量に「撮影当時」と書いてあるのは
白濁してしまったため2度リポリッシュしており
撮影当時の重さよりも減っているのだが
密閉状態を維持するために開けたくないので
未計量の為に現在の正確な重量は不明で
おそらく1.1ct前後になっていると思われます。
各色様々の色も存在し
鉱物標本としても一定の人気があり
ある程度色の要因も判明していて
基本的には食塩と同じように乳白色から無色の物だが
食用でも有名なヒマラヤのピンクソルトのピンク色や
目を惹くドギツイ青のブルーハライト、
塩化カリウムの微細結晶の混入によるオレンジ色の物など様々。
この中でも特筆すべきは青と紫で
最初に掲載したブルーハライトと
同じ産地の物である
パープルハライトは
着色要因に色のある別の物があるのではなく
格子欠陥による発色の為、
これらを溶かしても水は無色のままとなる
それを実際に実験したものがこちらになり
左は天然カルカンサイト
右はブルーハライトを溶かしたものであるが
見ての通りハライトを溶かした水は無色のまま。
この格子欠陥による発色は
レッドダイヤモンドなど他の石でも起こりえる物の為
有名ではあるがこうやって溶かして目に見える結果が出るのは
非常に面白い実験の一つ。
またこのハライトの格子欠陥については
放射線によっておこったものと分かっており
地中にある天然放射性鉱物の影響の場合もあるが、
産地によっては近くで行われた核実験による影響で
色が変化したものと判明しているものもある。
ただし全てのブルーハライトがそうかというと
そうではなく、
臭化カリウム+金、銀、鉛などによって発色しているものもあるので
くれぐれも口にするのは食用岩塩のみにし、
鉱物標本は舐めない方がいい。
ちなみにしょっぱいよりも苦いが勝つらしい。
格子欠陥による発色の紫は
ブルーハライトと同じ原理であり、
同じ結晶内の一部だけが紫という場合も多く、
興味が尽きない物ではあるが
発色要因が目に見えない原子レベルの物の為
どこまで削っても色があるのか分からない物でもあるので
カットする際は非常に大変らしい。
最後に
カラーチェンジバイカラーハライト
0.92ct
PCA Mine, Carlsbad Potash Mining District,
Eddy County, New Mexico, USA
極めて稀なカラーチェンジするハライトで
なぜカラーチェンジするのか原理が解明されておらず
なおかつ不思議なことに先ほどの
青、紫と同じ結晶のごく一部だけ
このような変化する部分があり
ほんの数個しか作れなかった極めて稀な物で
締めくくらせていただきます