トリプライト
0.28ct
ブラジル、ミナスジェライス州、Itinga産
Triplite
トリプライト
和名:トリプル石
硬度:5.0~5.5
分類/グループ:燐酸塩鉱物/トリプライトグループ
晶系/産状:単斜晶系/通常塊状で単結晶は非常に珍しい
化学組成:Mn2+2(PO4)F
(Mn2+,Fe2+ ,Mg,Ca)2(PO4)(F,OH)
上記のようにグループ全体を指して書かれる場合もある
劈開:3方向に顕著
比重:3.85~3.94
屈折率:1.643~1.703
副屈折率:0.020
分散度:強め
蛍光(通常認識):無し
長波蛍光:無し
短波蛍光:無し
条痕:白~茶色
主な色:茶色、赤茶、暗褐色、黒、
多色性:あり(黄褐色:赤褐色など)
発見年:1813年
登録年:同年
発見地:Chanteloube, Razès, Bellac, Haute-Vienne, Nouvelle-Aquitaine, France
1813年にフランスで発見され
3方向の劈開からギリシャ語の3を意味するトリプルを語源として
トリプライトと命名され、
和名ではそのままトリプル石と呼ばれています。
燐酸塩鉱物の中では
トリプライトグループに属しており
このグループには
ウォルフェアイト(Wolfeite)
Fe2+2(PO4)(OH)
トリプロダイト(Triploidite)
Mn2+2(PO4)(OH)
ツウィーゼライト(Zwieselite)
Fe2+2(PO4)F
それとトリプライトが属していますが
トリプライト以外は非常に小さな結晶にしかならず
どれも単結晶ルースは見たことがない。
またトリプライトの亜種として
Metatriplite
黒に変化したものや
Talktriplite
マグネシウム優位体の物が報告されている。
発見から200年ほど経っていますが
知名度が低いのはその劈開性によってルースにするのが困難であり
なおかつ色も基本的に暗い茶色~褐色と
目立つ色ではなかったためです。
2019年頃にパキスタン・スカルドゥで
明るいオレンジに近い物が発見され
注目を浴びたこともあったのですが
残念ながら産出した量が少なく
知る人ぞ知る石の一つなっています。
また大きな結晶になりにくく
基本小さいルースで通常0.01~0.2程度で
0.5ct超えたら大きいと言われるのも
原因の一つ。
パキスタン産は0.5を超える物も出ていたので
人気になった要因の一つでした。
パキスタンから見つかるまでは
ルースの大半はブラジル産ばかりで
他の国からも産出はあったものの
大半は不透明に近い物やインクルージョンの多さで
ルースに向かない為に
ルースになりえる産地は非常に限られています。
主にブラジル、パキスタン、稀に中国、ウズベキスタン
鉱物としてはそれなりに産出があり
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、
ボリビア、カナダ、チェコ、フィンランド、
フランス、ドイツ、イタリア、カザフスタン
マダガスカル、モンゴル、モザンビーク、
ナミビア、北朝鮮、ノルウェー、ポーランド、
ポルトガル、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、
スロバキア、南アフリカ、スペイン、
スウェーデン、スイス、イギリス、
スコットランド、アメリカ、ジンバブエ
などから報告があります。
日本からは1977年に発見され
現在は2か所から報告があり
最初の発見地である
岐阜県桐生市津久原(梅田)鉱山と
2010年に発見された
福岡県福岡市長垂山からの報告があります。