ブラジリアナイト
0.74ct
ブラジル・ミナスジェライス州産
brazilianite
ブラジリアナイト
和名:ブラジル石
硬度:5.5
分類:燐酸塩鉱物
晶系/産状:単斜晶系/短柱状、稀に繊維質放射状集合塊、球状集合塊
化学組成:NaAl3(PO4)2(OH)4
劈開:1方向に完全
比重:2.98~3.00
屈折率:1.602~1.623
副屈折率:0.019~0.021
分散度:0.014
蛍光(通常認識):なし
長波蛍光:なし
短波蛍光:なし
条痕:白
主な色:無色、淡黄色、帯黄緑色、帯緑色
多色性:非常に弱い3色性(無色:淡黄色:微黄色)、
あまりに弱い為多色性なしと記載の場合もあり
発見年:1942年11月
登録年:1945年
発見地: Córrego Frio mine, Linópolis, Divino das Laranjeiras, Minas Gerais, Brazil
20世紀に発見された最初の新宝石として初めて認定された石で
20世紀発見の3大宝石の一つに挙げられ
(他二つはタンザナイトとシンハライト)
独特の明るい黄色から人気にはなったものの
残念ながら硬度も硬いと言えるほどではなく
なおかつ致命的だったのが
1方向に完全の劈開で非常に割れやすく
宝石としては大きな欠点となり
ジュエリー・アクセサリーには使えない為、
コレクターのみが求める石となった。
ただ鉱物標本としての価値も相応に高く
ルースにされたものが少ないのも事実。
発見当初は独特の色からクリソベリルと間違えれられたが
すぐに別の石、それも新種だと判明し、
発見された最初の発見地ブラジルに因んで
Braziliteと命名する予定だったが
当時新鉱物だと思われ研究中であった石に
仮に名称が使われており
(後にこれは新鉱物ではなく既知のバッデリーアイト(バッデリー石)と判明している)
そこでようやくBrazilianiteと命名され公式の論文に掲載された。
ところがこのブラジリアナイトもすでに使われていたことがあり
これは後に銀星石(wavelliteワーベライト)と判明したため
論文発表時には使われていない名称だったとはいえ
二番煎じはイヤだと慌てて綴りを少し変えたBrasilianiteと
命名しようとしたが、すでにBrazilianiteが定着していたため
変更が出来なかった。
このブラジリアナイトの原産地は
すぐさま標本商に抑えられ大々的に発掘がなされ
大きなポケットを掘り当て1945年~1950年頃まで
大量の良標本を市場にもたらすことに成功はしたのだが
1950年に産出が枯渇したようで途絶えてしまい、一度閉山している。
後に70年代ごろに再開発が試みられたがこの時も何も見つからなかった。
ただこのころにはすでにブラジルの同じ地区で
別の産地が見つけられており、
供給が止まることはなかった。
ルースになるような大きな結晶は
ブラジル産が大半ではあるが
鉱物としてはブラジル以外でも産出があり
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、
カナダ、中国、チェコ、フィンランド、フランス、
ドイツ、イタリア、ナミビア、ポルトガル、
ルワンダ、南アフリカ、スペイン、
アメリカ、ジンバブエなどからも産出している。
ただこのブラジリアナイトは
昨今ルースになるようなものが採れなくなっているらしく
徐々にルースを見る機会が減っているように感じる。
元々ブラジルの標本は1950年頃、90年代末、2006年に
大きな鉱床が発見され広く流通していたのだが
この2006年以降新たな鉱床がなかったようで
昨今新産の供給がなくなっているらしい。
まだあるうちに入手するのを検討しても
いいかもしれない石の一つとなりつつあります。
次回更新は明日10時です




