ジンカイト(天然)
0.26ct
Sterling Mine, Sterling Hill, Ogdensburg, Sussex County, New Jersey, USA
通常時
透過時
ジンカイト
Zincite
和名:紅亜鉛鉱
硬度:4.0
分類:亜鉛酸化物
晶系/産状:六方晶系/塊状、葉状、粒状など
化学組成:ZnO
天然の場合はマンガンを含む場合が多く、
(Zn,Mn2+)O 表記のことがある
劈開:強
比重:5.50~5.90
屈折率:2.013~2.029
副屈折率:0.016
分散度:低い
蛍光(通常認識):地色によりあり(スターリング産淡い黄色の物)
長波蛍光:極弱い黄色~オレンジ色
短波蛍光:反応なし又は、極弱い黄色~オレンジ色の場合あり
条痕:オレンジイエロー
主な色:赤、オレンジ、黄色、白、極稀に緑
多色性:非常に弱い2色性
発見年:1810年
登録年:1845年(改名年)
発見地:Franklin Mine, Franklin, Sussex County, New Jersey, USA
世間一般的にはジンカイトと言うと
ポーランドの亜鉛精製工場の煙突に付着する
意図して作っていないという意味で
半人工鉱物という特殊な立ち位置である物の方が有名で、
天然の物があるとは知らない人も多い不遇な石
1810年に発見時には当時の命名法に従い
red oxide of zinc(赤色酸化亜鉛)というそのままが付けられていたが
1845年にヴィルヘルム(Wilhelm Karl von Haidinger)が
今のzinciteという名称に改名・登録をした。
ただほんの1年前の1844年にはフランシス(Francis Alger)が
産地から取ってsterlingiteという名称や、
spartaliteという名称が
1852年にヘンリー( Henry James Brooke)と
ウィリアム(William Hallowes Miller)により使われたこともあるが
定着せずに現在もジンカイトという名称しか使われていない。
最初に説明したようにポーランドの工場産の半人工物が
非常に多く出回っており
亜鉛工場の煙突内に意図せず付着する副産物であり
定期的に清掃する関係と非常に綺麗な物であるために
需要があるため大量に供給されるために
市場にあるジンカイトの9割は半人工物であるが
天然に産出することがあるのは述べた通り。
ただしルースに出来るような品質の物は
アメリカ・ニュージャージー州のフランクリン鉱山と
スターリングヒル鉱山のみと言うのが実情で
この鉱山はどちらもすでに閉山しているため
ルースは非常に数が少ない。
なおポーランドの半人工ジンカイトは
こちらも地色次第ではあるものの
濃い赤以外は弱い黄緑蛍光を持っている物が多い。
またポーランド産の物は天然に産する所はなく
ポーランド産ジンカイトはすべて半人工の物であるが
非常にややこしいことに
これはポーランドに限らない事ですが
〇〇鉱山となっていても
スラグの集積場として廃坑となった鉱山を利用している場合があり
天然ジンカイトとは言えない物となる。
ちなみにスラグ(slag)というのは
日本語では鉱滓とも書かれ
鉱石から金属を精錬する際に出る、
本来の目的以外の物が鉱石から溶融・分離した物の総称で
溶融スラグと言ったりする場合もある。
また非鉄金属の溶融スラグの場合は
鍰と呼んだり、
たたら製鉄の時にはのろと呼んだりする場合もある。




