カラーレス・スピネル
0.14ct
モザンビーク産
Spinel
スピネル
和名:尖晶石
硬度:7.5~8.0
分類/グループ:酸化鉱物/スピネルスーパーグループ
晶系/産状:等軸晶系/八面体、双晶、十二面体、塊状など
化学組成:MgAl2O4
劈開:なし
比重:3.58~3.98
屈折率:1.712~1.735(色によって変化)
副屈折率:等軸晶系に副屈折はない
分散度:0.020
蛍光(通常認識):あり
長波蛍光:地色で変化し基本は赤で淡紫色石~淡青色石~無色は淡緑蛍光
短波蛍光:ピンク色石、赤色石は赤蛍光、他の色は基本蛍光しない
条痕:灰白色
主な色:黄色以外ほぼすべて。稀に無色
多色性:なし
発見年:1779年
登録年:同上?
発見地:発見が古すぎて不明
スピネルと言うと各色様々な色があり
古くから宝石として利用されており
また鉱物種として知られていなかったころは
レッドスピネルがルビーと間違えられて使われていたりと
昔から人気のある石ではあり
昨今ではコバルト含有のコバルトスピネルや
亜鉛含有スピネル(ガーナイト)のコバルト含有で
真っ青な物が人気になったりと
ほんの20年ほど前までは安価で処理石とも無縁と言われた石でしたが
昨今じわじわ価格が上がり始めている石。
そんななかこちらも完全カラーレスの物は
かなり珍しい存在となります。
極淡くピンクを噛んだものや
紫を噛んだものまではわりと存在するのですが
完全無色の物は探し出すとなかなか見つからない物となります。
ただ少ないのは間違いないんですが
写真のような0.5ctを下回るもので探し出すと
それなりに見つけることは可能なので
難易度的には今まで紹介した中では
かなり低めなのかとは思います。
ただし1ctを超えたもので完全無色は
非常に珍しくなる為、驚くほど見つからなくなります。
これだけでは書くことが少なすぎるので
色々補足を致します。
まずスピネルスーパーグループの中には
O2を含むOxyspinel group,(オキシスピネルグループ)
S2を含むThiospinel group ,(チオスピネルグループ)
Se2を含むSeleniospinel group.(セレニオスピネルグループ)
の三つに分かれ、
一般的に宝石として普段目にするスピネルは
オキシスピネルグループに属しており
長くなるのでスピネルに関連するものを紹介にとどめますが、
普通目にするスピネル、
鉄が含まれ真っ黒なヘルシナイト
亜鉛が含まれ暗い青色のガーナイト
銅と鉄が含まれる黒色のキュプロスピネル
Na2O 1.38%、K2O 1.31%を含むアルカリスピネル、
Mg:Fe が 3:1 から 1:1 で、三価鉄がごく少量
または全く含まれない鉄スピネル亜種のセイロナイト(Ceylonite)
アルミニウムの次に3価鉄が多く、
ヘルシナイト亜種の緑色のクロロスピネル(Chlorospinel)
亜鉛を多く含むものの明るい青をしているガーノスピネル(Gahnospinel)
クロムを含むスピネル亜種マグノクロマイト(Magnochromite)
などなど非常に多岐にわたっていますが
ここまで細かく分析されたものはほぼ見たことなく
キュプロ、アルカリ、セイロ、クロロ、マグノ、
これらは宝石としてはあまり使われていない様子。
少なくともソーティング付きのこれらは私は見たことがない状況。
また上記データでも書きましたが
スピネルの中で黄色だけは全く見つからない
幻の宝石と呼ばれるものとなり
ソーティングや鑑別付きのイエロースピネルは
過去1度だけしか見たことがありません。
ただし鉄インクルジョーンを含み
濁った肌色のような物はあります。
「イエロースピネル」と言っているのは
クリソベリルやイエローサファイアのような
透明感も抜群で発色のいい黄色の事で
上記鉄インクの物は除外されているのが実情。
もしソーティングなしでイエロースピネルと書かれている物があれば
石が違う可能性が非常に高い為
一度鑑別に出すのをお勧めいたします。
過去石仲間数人と
イエロースピネル表記のソーティングなしの物を
かたっぱしから購入しては鑑別に出すというチャレンジを
行ってきましたが全員のきなみ敗北し
結果はクリソベリル、アンドラダイト(トパゾライト)、
ジルコン、ヘソナイトガーネット、トルマリン、
ベリル、シトリンなどと
散々な結果となっています。