カラーレス・ゾイサイト
左通常ルース
0.23ct
右キャッツアイ
0.19ct
zoisite
ゾイサイト
和名:灰簾石または黝簾石
硬度:6.0~7.0
分類/グループ:珪酸塩鉱物/ゾイサイトグループ
晶系/産状:斜方晶系/柱状、円柱状、塊状など
化学組成:Ca2Al3(SiO4)(Si2O7)O(OH)
劈開:1方向に完全
比重:3.20~3.50
屈折率:1.685~1.707
副屈折率:0.006~0.013
分散度:0.0196
蛍光(通常認識):なし
長波蛍光:なし
短波蛍光:なし
条痕:白
主な色:青、緑、灰色、紫、黄褐色、黄、ピンク、稀に無色など
多色性:あり(強い3色性、赤紫:濃い青:黄緑)(後述)
発見年:1804年
登録年:1805年
改訂年:2006年
発見地:Prickler Halt, Eberstein, Sankt Veit an der Glan District, Carinthia, Austria
一般的にはタンザナイトの名称で知られる宝石として
広く愛される宝石で、
基本的にはレアな宝石ではありませんが、
完全な無色透明石は非常に少なく
探してもそうは見つからないレアカラーとして
知られています。
またもう一色、赤色も非常にレアな色となり
レッドゾイサイトとなると
本当にあるのかも分からない物となっています。
一応オレンジレッド系統や
赤紫系統であれば存在は確認できてますが
真っ赤な物はまだ見たことのない色となり
鉱物1種による色相環の完成は難しくなっています。
このゾイサイトに関して言うと
元々エピドート(緑簾石)グループに
属していたのですが、
IMA(国際鉱物学連合)により
2006年に様々な鉱物の分類の見直しが図られた際に
エピドートグループは正方晶系である
という定義が加えられたため
斜方晶系であるゾイサイトはこのグループからは
はずされています。
また最初に述べたように
1967年に新たに発見されたゾイサイトの変種で
バナジウムを含有しており
370℃~600℃、2時間の条件で加熱することにより
元々褐色に見えるが強い三色性があり
赤紫:濃い青:黄緑の多色性が
加熱により黄緑の成分が濃い青に変わり、
赤紫:濃い青の2色性に変化し、
深い青紫の見た目の宝石となり
ティファニーが発見地のタンザニアから
「タンザナイト」として命名し大々的に売り始めたことから
確固たる地位を築き今も大人気の宝石となっています。
エピドートグループからは外されたゾイサイトですが
同じゾイサイトグループには
濃い緑が特徴のクロム含有ゾイサイト
{Ca2}{Al,Cr3}(Si2O7)(SiO4)O(OH)
ほぼ不透明ながら濃いピンクが特徴のチューライト(Thulite)
{Ca2}{Al,Mn3+3}(Si2O7)(SiO4)O(OH)
先ほどのバナジウムを含み、加熱により濃い青紫を示すタンザナイト
(ただしタンザナイトは宝石名なだけで鉱物名としてはゾイサイトのまま)
ルビーを含む濃い不透明な緑色との対比が楽しい
アニョライト(ルビーインゾイサイト)
2022年にスウェーデンで発見されたばかりの
Zoisite-(Pb)(鉛灰簾石)
この他詳細が分からなかったのですが、
異常な光学特性のあるというPseudozoisiteがあります。
また名前にゾイサイトが入っている
クリノゾイサイト(斜灰簾石)は
斜方晶系ではなく単斜晶系であるため
ゾイサイトグループではなく、
そのままエピドートグループに
入ったままとなっており
非常にややこしくなってます。
脱線しすぎましたが
最初に載せた写真のカラーレスはもちろんなのですが
実はキャッツアイもゾイサイト全体で非常に珍しく
青紫系統でしかシャトヤンシーが発現しにくく、
青紫と無色以外見たことがない石種となっています。
その中で最初の写真の
カラーレスゾイサイトキャッツアイは
2015年にパキスタンに買い付けに行った宝石商が
ゾイサイトと表記された無色~灰色の原石を
見つけこれを購入。
この石はアフガニスタンの
バダフシャン・コクチャ渓谷の
ラジュアル・マダンから来たものと言われ
この中の80個、
27.6gのカラーレスの原石をカットに出し
2015年9月に60個の
ファセットルース(合計18.57ct)と
18個のキャッツアイの出た
カボション(合計8.94ct)を受け取り、
その内の一個がこの最初の写真の1個となります。
ですので世界には最低限あと17個の
カラーレスゾイサイト・キャッツアイが存在することは確定していますが
この1個以外見たことがなく下手すると
世界に18個しか存在しない可能性もあるほどレアなものとなっています。
キャッツアイ図鑑にも掲載していますが
せっかくなのでこちらでも単体の物を掲載して
締めとさせていただきます。




