ウルフェナイト
巨大結晶10.21ct(アメリカ・アリゾナ州・レッドクラウド鉱山産)
バイカラー0.34ct(メキシコ・チワワ産)
カラーレス0.12ct(コンゴ産)
Wulfenite
ウルフェナイト
和名:水鉛鉛鉱、モリブデン鉛鉱
硬度:2.5~3.0
分類/グループ:モリブデン酸塩鉱物/シーライトグループ
晶系/産状:正方晶系/薄板状、粒状、塊状、極めて稀に短柱状
化学組成:PbMoO4
劈開:1方向に完全、1方向に明瞭
比重:6.50~7.00
屈折率:2.280~2.405
副屈折率:0.120~0.122
分散度:なし
蛍光(通常認識):基本なし
長波蛍光:稀に弱い紫
短波蛍光:なし
条痕:白
主な色:黄、赤、オレンジ、褐色、稀に無色、灰色、茶色、
多色性:弱い2色性(オレンジ:イエロー)
発見年:1772年
登録年:1845年(改名年)
発見地: Bad Bleiberg, Villach-Land District, Carinthia, Austria
シーライト(灰重石)グループに属し、
硬度・靭性ともに低い為にルースは非常に少ない石ではあるが
独特な色味から人気は
鉱物標本、ルース共に高く
結晶の大半が薄い板状であり、
劈開も強い為にファセット難易度は高い物の
時折ルースを目にする事が出来る。
ただし以前にも書いたように
鉛の鉱物であるため非常に比重が重く、
ct数のわりに小さくなるのが欠点とも言える。
1772年にイグナーツ(Ignaz von Born)により
plumbum spatosum flavo-rubrumと命名されたのをはじめ
1782年にはジョセフ(Joseph Franz Edler von Jacquin)により
Kärntherischer bleispathとも命名されたりしていたが
上記に書いたように1845年に
ヴィルヘルム・K・ハイディンガー(Wilhelm Karl von Haidinger)により
オーストリアの鉛鉱物に関する著書を執筆した
植物学者、鉱物学者、登山家である
フランツ・X・ウルフェン(Franz Xaver von Wulfen)に敬意を表し
改名されて登録・統一された。
鉱物標本界隈では
上記写真にもあるアメリカのレッドクラウド鉱山産が
美麗な結晶であるために非常に人気があり
この産地のルースは高額になる。
また同じアリゾナ州で
マリコパ郡のローリー鉱山産や
世界最大のミネラルショーで有名な
ツーソンにほど近いオールドユマ鉱山産などもある。
他のルースになりえる産地としては
上記写真にもあるように
メキシコ・チワワ産やコンゴ産、
ナミビア・ツメブ鉱山産や
最初の発見地の
オーストリア・ブライベルク鉱山産など
多数の物が見られはするが
数はあまりなく強度的には弱い為に
コレクターの目を楽しませるのみの石。
鉱物標本としては
世界各国から産出しており
上記のルースがある産地以外にも
アルジェリア、アルゼンチン、オーストラリア、
タスマニア、ベルギー、ボリビア、ブルガリア、
カナダ、チリ、中国、チェコ、エジプト、
フランス、ガボン、ドイツ、ギリシャ、
グリーンランド、ハンガリー、イラン、
アイルランド、イタリア、ジャージー(代官管轄区)、
カザフスタン、マダガスカル、マラウイ、モンゴル、
モロッコ、ニュージーランド、マケドニア、
ノルウェー、パキスタン、ポーランド、
ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロバキア、
スロベニア、南アフリカ、韓国、スペイン、
スウェーデン、スイス、タジキスタン、イギリス、
スコットランド、ウズベキスタン、ザンビア
と非常に多くの国から産出するほか、
アメリカも上記に書いたアリゾナ州以外の
ほとんどの州から出る。
日本でも産出があり
福井、岐阜、兵庫、鹿児島、
岡山、大阪、埼玉などから報告がある。
次回更新は明日9時予定です。




