キンバリー・パイロープガーネット
ルース
0.78ct
原石
25.25ct
Kimberley Mine pyrope garnet
キンバリー・パイロープ(ガーネット)
ガーネットをなんでこのレアストーンに載せるのか?
という疑問はあると思いますが、
このキンバリー・パイロープは
ガーネットコレクターと
ダイヤモンドコレクターもが
血眼になって探し求める物の一つで
その名の通り南アフリカのキンバリー鉱山産の
ガーネットです。
この鉱山自体が開山が1871年7月と古く、
その後1914年8月14日に閉山しており、
100年以上前に閉山している鉱山で
南アフリカの「ビッグホール」という名称で
閉山直後から長らく世界最大の手掘りによる穴として
観光名所にもなるほど有名な物。
(2005年の調査で同南アフリカのヤーゲルスフォンティーン鉱山の方が
深さ、採掘土砂量が上回っている事が判明している)
稼働期間43年で
つるはしとシャベルによる人力により
2720㎏(1360万ct)のダイヤモンドと
幅463m、深さ240m(途中で埋まり215m)
(現在は水が溜まり、見た目の深さは175mになっている。)
おおよそ2200万トンにおよぶ土砂が運び出されている。
ダイヤモンドの鉱山であったために
採掘時にガーネットはダイヤモンドがある事の指標として
注目されることはあったものの、
(ダイヤモンドが出る所には必ずガーネットが出る)
ガーネットに価値を見出していなかったために
ほぼ全てが土砂と一緒に破棄されており
ほとんど残っていない。
ごく一部この産地のダイヤモンドの中にこのガーネットが
インクルージョンとして含まれていることがあり
ガーネットインダイヤモンドとして
注目されることもある。
この産地のガーネットは
極一部地質研究用に残された物を後に調査したところ、
理論上存在するかもと言われた
幻の「ガーネット主要7種すべてを含む物」と判明し
鉱物業界が騒がしくなったのだが
このころにはすでに閉山後であったので
非常に数が少なく研究所や博物館などに
極わずかに残るのみ。
2024年現在では探すことも不可能なほどで
宝石商やバイヤーに探してくれと頼んでも
ない・無理と即答されます。
さらにはその貴重なガーネットのルースともなれば
世界中で見ても何個あるの?というぐらいには
稀少なものとなり非常に稀有な存在となります。
そのような稀有なガーネットですが
なぜ「パイロープ」とついているかというと
原石の結晶形がパイロープガーネットの結晶形だからです。
実際の話鉱物コレクター界隈では
キンバリーと言うだけで
あぁパイロープねと言われるほどに
浸透したものとなっています。
ただしルースにした場合
元々が7種混合のガーネットであるために
たとえ同じ結晶から複数個ルースを作成したとしても
詳しく成分分析した場合
それぞれ1個ずつ
パイロープとは出ずにスペサルティンや
アルマンディンなど別種のガーネット種と出る場合があります。
それほどに同じ結晶であっても
カットした場所により成分が変ってくることがありえる
連続固溶体ならではの悩ましい問題になります。
実際に成分分析したキンバリーがあったのですが
それはスペサルティンで結果が出ました。
その為ルースにされた場合は
キンバリー・ガーネットと表記されることが多いです。
この辺りはガーネットグループ特有の
名称決定ルールに
50%ルールというものがあり
成分の50%を超えた物をそのものとする為におこります。
余談ですがこれは同じガーネットグループの中で
100%に近い純粋な物がないと言われる
ウバロバイトガーネットやキンジアイトガーネットなどでもある話で
この種をカットルースにした場合
同様の問題が出ることがあります。
もっともウバロバイトガーネットは大きな結晶になりにくい為
カット出来るような産地はすでに枯渇・絶産した
フィンランド産のみではあるのですが・・・
(有名なロシア・ウラル産は結晶が小さい為カット不可能)
なお岩石の種類として斑状火成岩に
「キンバリー岩」と命名されていますが
これはこのキンバリー鉱山の
ダイヤモンドを含む黒雲母角閃岩をキンバーライトと命名したためで
キンバリー岩は他の産地のものであっても同名な為
現在はキンバリー鉱山産というわけではなくなっています。




