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ウルツァイト(ウルツ鉱)

挿絵(By みてみん)

0.27ct

タンザニア・メレラニ産


Wurtzite

ウルツアイト、ウルツァイト

(鑑別書には天然ウルツァイトと表記されるので

 アが小さい方が多用されています)

和名:ウルツ鉱、繊維亜鉛鉱

硬度:3.5~4.0

分類/グループ:硫化鉱物/ウルツアイトグループ

晶系/産状:六方晶系/柱状、短柱状、板状、腎臓状、繊維状集合体など

化学組成:(Zn,Fe)S

 ZnSと表記される場合も多い

劈開:3方向に完全、1方向に明瞭

比重:4.0~4.1

屈折率:2.356~2.378

副屈折率:0.022

蛍光:長波・黄色~黄緑(稀に燐光あり)、短波・赤

条痕:茶色

主な色:暗赤色、黒、暗オレンジ色など

多色性:なし

発見・登録年:1861年

発見地:San José Mine, Oruro, Cercado Province, Oruro, Bolivia


ウルツアイトというのはスファレライト(閃亜鉛鉱)の

同質異像の鉱物でスファレライトが等軸晶系なのに対し、

ウルツアイトは六方晶系を示します。


原子配列を層として分割してみた場合に

層の重なり方が異なっているものがあり、

このようなものを多型ポリタイプと呼ばれ、

ウルツアイトにはこの多型ポリタイプが

少なくとも10種あると確認されており、

その違いにより

2H,4H、5H、6H、8H、10H,12R,15R、18R、21Rなどと

表記される。

一般的な物は六角形の2Hの物。


名の由来はフランスの科学者

Charles Adolphe Wurtz(シャルル・A・ヴェルツ)(1817~1884)に

敬意を表してCharles Friedel (シャルル・フリーデル)が1861年に命名しました。


非常にややこしいことに

1967年に発見されたダイヤモンドより硬い物質として

ウルツァイト窒化硼素(w-BN)という物が発見され

硬度はモース硬度の上限10を超え、

硬度11.8と言われています。

こちらとは別物となり、

単にウルツァイトと表記される場合は

窒化硼素ではない本鉱を指している。


なお補足するとBNはboron nitrideの略で

常圧相で六方晶系のh-BN(hexagonal-BN)と

高圧相で立方晶系のc-BN(cubicーBN)があり、

h-BNはモース硬度としては2程度ではあるが

電気絶縁体でありながら高い熱伝導率があり

ファインセラミックスという名称で各種利用されている。

もう一方のc-BNはモース硬度ではダイヤモンドに次ぐ

9~10と高くCBN研磨剤として流通しています。

またc-BNは合成ダイヤモンドと同じ機械の

高温高圧で作成されるものだが

ウルツァイト窒化硼素はc-BNと同じ高圧相ではあるものの

爆薬で瞬間的に高圧状態を作り出し作成するもので

非常に小さな物しか出来ない為硬度は高い物の

研磨剤利用はない。

またc-BNは最初は合成しかなかったが

2009年に中国で天然が発見されている。


ちなみにグループとしてウルツァイトグループと言われますが

同グループの物としてはどれも非常にマイナーで、

Buseckite  (Fe,Zn,Mn)S

Cadmoselite CdSe

Greenockite CdS

Rambergite MnS

上記が含まれている

どれもカットされるものはない様子


話を戻してウルツアイトはスファレライトと

成分が同じこともあり屈折も同様に高い為に

非常に煌めく石ではあるのですが

カットに耐えうる物の産出が非常に少なく、

カットに向く物はタンザニア・メレラニ鉱山が唯一と言われ

昨今すでに絶産したのではとも言われ始めており

見つけたら確保する事をお勧めする石の一つとなっています。


宝石質の物は上記のように

タンザニア・メレラニ鉱山が唯一に近いですが

鉱物としては

アフガニスタン、アルゼンチン、オーストラリア、

タスマニア、オーストリア、ベルギー、ボリビア、

ブルガリア、カナダ、中国、コスタリカ、チェコ、

コンゴ、フィジー、フィンランド、フランス、

ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、インド、イラン、

アイルランド、イタリア、ヨルダン、カザフスタン、

キルギスタン、メキシコ、モンゴル、モロッコ、

ナミビア、オランダ、オマーン、パプアニューギニア、

ペルー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、

ロシア、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、

スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、

タジキスタン、トンガ、イギリス、ウクライナ、

アメリカ、ベトナム、ザンビア

と各国から産出がある。


日本からは

秋田、青森、群馬、北海道、鹿児島、宮城、静岡、山形

などから発見されている。


また上記のように鉱物としては

熱水鉱床で発見されているのですが

非常に面白いことに硫化物であるために

深海底のスモーカー(熱水噴出孔付近の堆積物)からも

普通に産出されるために

北極海、大西洋、太平洋、

インド洋、沖縄沿岸(尖閣諸島付近)、紅海

など各地海底からも産出があるようです。

海底産とかロマンあるので一つは欲しい所・・・


またロマンという点では

1976年にソ連が打ち上げた

無人月面探査機ルナ24号の着陸地点、

170.1gの月の土からも検出されています。

もっとも検出というだけあって

顕微鏡サイズではあるのですが。

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