鉱物分類(珪酸塩鉱物)
非常に多くの鉱物種が存在し、
そのベースの分類として古くからある分類の一つに
ベースの元素をもとに分類するものがあり
当記事でも「分類」として記載しているが
細かい説明をしていなかったので分類を記載。
全てをまとめようかとも思いましたが
珪酸塩だけは非常に多岐にわたる為、
独立して掲載致します。
珪酸塩鉱物
鉱物の世界では一番数多く存在している、
珪素を主体としたもので
組成式にSiOを持つものの総称。
その中でもその珪酸塩基を(SiO4)4-と
表せる構造の基礎を基本とし
正四面体を成す為、
珪酸四面体と呼ぶ場合もあり、
この珪酸四面体がどのように構成されているかで
さらに細かく分類され、それぞれギリシャ語を語源とする
ネソ、ソロ、シクロ(サイクロ)、イノ、フィロ、テクト
を頭につけた珪酸塩で分類されている。
ネソ珪酸塩
ネソとはギリシャ語で島を意味しており、
珪酸四面体が独立して存在しており
もっとも単純な基本基SiO4を持っている物。
有名なものではガーネットグループ、ペリドットグループ、
ジルコン、トパーズ、スフェーン、ユークレース等が
ここに属する。
ソロ珪酸塩
ソロとはギリシャ語で群を意味しており、
連結した珪酸四面体が1つの頂点を共有している形で
(Si2O7)6-を基礎としたグループ。
英語で一人を意味するソロとは正反対の意味の為注意。
ここに属するもので有名な物は
ゾイサイト、エピドートグループ、ヘミモルファイト、
コーネルピン、ベスビアナイトなどがある。
シクロ珪酸塩
シクロとはギリシャ語で輪を意味し
英語にするとサイクルであるため、
より英語に近いサイクロと表記される場合もある。
珪酸四面体が3つ以上連なっており、
頂点が2個以上繋がってリング状になっているもので
繋がりの数によって珪酸塩基も記載が変わり、
組み合わせは3,4,6,8,9,12個などがあるが
8個以上は稀になる。
最小組み合わせ数が3の為
基本基は(Si3O9)6であるが以降組み合わせが増えるたびに
「Si(組み合わせ数)O(組み合わせ数×3)」(組み合わせ数×2)となり
6の場合だと(Si6O18)12となり、
12の場合だと(Si12O36)24などと変化していく。
3の組み合わせで有名な物は
ベニトアイト、カタプレアイト
6で有名な物は
ベリルグループやトルマリングループなど
12で有名な物は
ローレントーマサイト、スギライトなどがある。
イノ珪酸塩
ギリシャ語で鎖を意味していて
その名の通り珪酸四面体が2個の頂点を共有して
鎖のようにつながり1方向に連結している物の総称。
基本基は(Si2O6)4で表され、
パイロキシン(輝石)グループがその代表例となり
有名な物では翡翠やダイオプサイド、エンスタタイトなどがある。
また例外的に2重に連なった2重鎖と呼ばれる
鎖が二本重なってつながったものも確認されており
この代表例はアンフィボールグループ(角閃石)で
2重鎖の物は基本基も(Si4O11)6-に変化する。
他にも3重鎖の物や
2重鎖と3重鎖から出来ている複雑な物も確認されているが
このタイプはSiの一部がAlに置換されている物がある。
フィロ珪酸塩
ギリシャ語で葉片状に薄い物を意味しており、
珪酸四面体が3つの頂点を共有して層を作っている物の総称で
基本基は(Si4O10)4-になるが
実際には(Si2O5)nが基本とする場合が多い。
上記のイノ珪酸塩が立体的に無限に重合したものと見ることも出来る為
無限鎖とも呼ばれることもある。
ただSiの一部がAlに置換されたものが多く、
基本基もAlSi3O10と変化している場合が大半。
代表例はペタライト、オケナイト、タルク(滑石)、雲母類、アポフィライトなど。
テクト珪酸塩
ギリシャ語で立体構造を意味しており、
珪酸四面体の4つの頂点すべてを共有しあって、
立体的な網目状構造を作っており、
基本基には必ずAlがSiと置換して含まれており、
AlSi3O8を基本として
Al2Si2O8やAl2Si4O12などがある。
代表例は石英、フェルスパーグループ(長石)やゼオライト(沸石)グループなどがある。
また珪酸塩と表記されてはいるが
厳密には珪酸四面体が4つの頂点を共有した場合、
中性になるため塩を形成しない為、
正確には酸化物となるがそのまま珪酸塩と表記されたままとなっている。
いずれIMAの細分化で名称変更されそうだと思う筆頭。
なお代表例に入れはしたが石英は上記のことから
酸化物とする場合もありどちらに入れるかは
著者次第になっている部分もある。