用語解説
レアストーン
一般的に流通するものではなく
滅多に見かけないもの、
量が採れない物、
硬度が低かったり劈開性でカットが難しく、
ルースを見かけない物、
石種としてはありふれた物でも特定の色が滅多にない物など
広義には色々とありますが、
明確にこの程度と定義があるわけではない為説明が難しい。
またルースとしてカットが施されるのが珍しいが
実は鉱物として見た場合には普通に流通するものもあるため、
各個人での感覚に近い部分も多々ある。
そのほか採れる量があまりにも少なく
レアストーンと呼ばれていたものでも
新たな鉱床が見つかって今となってはレアストーンからは
はずれただろうと見なされる物も多い。
ルース
裸石
一般の方が思い浮かべる宝石の形にカットを施されたもので
ジュエリーなどに加工されていない、
石だけの状態。
ct
読み キャラット又はカラット
略称としてキャラという言い方をする場合もあり、
1キャラの〇〇が欲しいなどと使う為、
基本的には金の純度のカラットもあるので
キャラットの方が正確だという説が多い。
宝石の重さの単位で1ctは0.2g
k
読み カラット
金に使用されるkもカラットと読みますが、
kの方は金の純度の単位。
24分率を使用しているため、
24kが純金(金純度99.9%以上で純金)
よく目にする18kは
18/24で75%が金であるという事です。
なおなぜ他の金属を混ぜるのかですが、
24kは非常に柔らかい為、
簡単に曲がったりするので他の金属を混ぜて硬さを上げて
通常使用に耐えるものにしています。
24k製のアクセサリーは扱い要注意です。
ちなみになぜ今の一般的な100分率ではなく
24分率なのかというと
金の利用ははるか昔からおこなれており
その当時まだ100分率は一般的ではなく
1日の長さの「24時間」はあったため
24分率になったという経緯だそうです。
その為高温が必要だったので精錬技術確立が近代の
プラチナや銀は分かりやすい1000分率が使用されています
アイクリーン
肉眼で見た際にインクルージョンが
見えない物。
ルーペクリーン
ルーペを使ってもインクルージョンが
見えない高品質な物。
シャトヤンシー
chatoyancy
フランス語の
シャトワヤンス(chatoyance)が語源で、
シャトワヤンスは煌びやかな輝きを意味しています。
キャッツアイというのは
その石にシャトヤンシーが出ていることを
指しているので
この石は綺麗にキャッツアイ出てる
という言い方はあまりせず、
綺麗にシャトヤンシーが出ている
という用い方をしていますが、
キャッツアイが綺麗に出ているでも大きな問題はなく、
どちらかというと宝飾業界用語に近い扱いです。
アステリズム
asterism
宝石の世界ではスター効果の事を指し、
和名では星彩効果と書きます。
こちらもシャトヤンシー同様宝飾業界用語に近く、
一般的に使われることは減りましたが、
このルビーは綺麗にアステリズムが出ているが
色が薄いなどの
用い方をします。
またアステリズムには
宝飾業界だけではなく各分野でも使用されており
宇宙分野では星座、星群という意味もあります。
硬度
基本的に用いられる硬度とは
1812年にドイツの鉱物学者
フリードリッヒ・モース考案のもので、
1から10までの10段階にわけられていて
(正確には6.5など0.5単位も含むため19段階)
モース硬度とも呼ばれる。
硬さを表してはいますが
硬度とは「傷のつきにくさ」の指標となるため
割れにくさを表したものではありません。
硬度が高くても簡単に割れる物もあり、
硬度だけを見てアクセサリーに
用いてもいいわけではありません。
一応の指標としてアクセサリーに向くのは
硬度6以上と言われていますが
その理由として空気中に舞うホコリの中には
珪素を含む砂粒もあり
このホコリで徐々にではあるが表面が傷つき
白濁していったりするために向かないと言われます。
ただ琥珀や真珠など硬度6以下の
アクセサリーも多数存在します。
なおモース硬度以外にも
ダイヤモンドの剛体を使用し圧力をかけて押し付けて
対象についたくぼみの深さで測る方法もあり
正四角錐のダイヤを使って測った
1921年にビッカース社で考案されたビッカース硬度と
方法は同じながら
ひし形のダイヤを使って測った
1939年にフレデリック・ヌープが考案したヌープ硬度と
言う物も存在しており
モース硬度をMH、
ビッカース硬度をHV、
ヌープ硬度をKHと略称する場合もある。
ややこしいことに
モース硬度1~10
ビッカース硬度50~7000
ヌープ硬度30~8500と
同じ硬度でも数字が違っているため
基本的に宝石・鉱物業界では一番歴史の古いモース硬度が使われている。
稀に研磨剤など商業的に使用される物は
ヌープ硬度やビッカース硬度が表示される場合もある。
靭性
読み じんせい
こちらは傷のつきにくさの指標ではなく
割れにくさの指標。
こちらもモース硬度同様に
10段階に分かれていますが、
モース硬度と一致するものではありません。
1例として言うと
硬度10のダイヤモンドの靭性は7.5、
対して硬度7の翡翠は靭性が8と
ダイヤモンド以上に割れにくい性質があります。
蛍光
フルオレッセンス
一般的に宝石・鉱物の世界で蛍光と言うと
紫外線を照射したときに光るものを指す。
専門用語でフォト・ルミネッセンスとも言う。
この紫外線にも種類があり
長波(LW)・中波(MW)・短波(SW)と
分かれており
ただ単に「蛍光」と言う場合は
長波での照射の事を指す。
昨今では100均でも入手できる
レジンを硬化させるための紫外線ライトは
一般的に言われる長波よりもさらに波長が長く、
なおかつ危険性を一目で分かるように
青色の可視光がわざとつけられており
簡単に安価で入手出来るが、
鉱物の蛍光観察用には向かず、
通常見られる長波での蛍光の色ではない可能性があります。
ただしグロッシュラーガーネットの蛍光を見たい場合など一部例外的に
こちらのブラックライトの方が
適している場合があります。
合成宝石
英名ではシンセティック(Synthetic)、
クリエィテッド(created)、ラボ・クリエィテッド(Lab・created)
と表記されます。
天然にも存在する宝石を人の手で作ったもので、
天然の宝石と同じ結晶構造、科学組成、を持っていて
科学的特性、物理的性質も類似している物。
人工宝石
人の手で作り上げたものと言う点では合成と同じではあるが、
天然には存在しない種のこと
(キュービックジルコニアがその代表)
英名表記では
主にマン・メイド(man-made)と表示される。
ただし上記二つはどちらも人の手で作られた物
と言うのは変わらないので
明確に分けていない場合もある。
上記以外に該当するのがガラス製
合成も人工も人の手で結晶させたものという定義なので
非結晶性であるガラス製は模造宝石に該当します。
模造宝石・模倣宝石
正確には模倣宝石は上記合成、人工、今回の模造の
3つ全てを含んだ総称として使う場合もありますが
昨今は合成も人工もある程度知名度が上がったために
模倣も模造も同一の名称になりつつあります。
模造・模倣宝石とは
天然石以外の材料を使って
見た目をそっくりにしたもの全般を指し
材質で一番多い物はガラスで
他にも木材、骨、陶器、樹脂、貝殻、金属、ガラスなど様々。
一番有名なものとしてスワロフスキー社のクリスタルガラス製や
昨今ではレジン製の物が主流となりつつもある。
見た目がそっくりそのままとはいかず
一目で違うと分かる物や
手に持つと軽さですぐ分かったりもするが
非常に安価で大量に作ることも出来る為
近くでじっくり見ない演劇に使用されるなど
需要は多くあるのが現状。
処理石
非常にややこしい話になるので簡単に。
採掘された鉱物に
カット以外の何かしらの人の手を加えたもの。
処理の種類としては加熱処理、照射処理、含侵処理、
着色処理、油浸処理、拡散加熱処理、などがあり
他に昨今では合成ダイヤモンドの作成技術を応用して
高温高圧処理なども出てきている。
劈開
読み へきかい
石自体に衝撃などがあった際に割れる性質の事で、
主に鉱物学、結晶学、岩石学用語。
上記の靭性とは別でもっと内部的な分子間・原子間での話。
1~6方向の劈開性と劈開なしの7項目に分けられる。
劈開性の表現としては完全>明瞭>不明瞭>なしの
4段階表記が多いが、
明瞭と不明瞭の間に良好を入れる場合があるなど明確な書き分けは現状存在しない。
一例としてカルサイト(方解石)であげると
3方向の完全な劈開 という表現がされます。
よく勘違いされることに
劈開性の表現が完全や明瞭など書かれるために
完全に近づくにつれて割れやすいと思われがちですが
実際にはそうではなく
あくまでも割れた際の劈開面がどのようになるかの
表現であり割れやすさの目安ではありません。
(全くの無関係でもありませんが)
言うなれば劈開面がどれだけ滑らかなのかの指標となり
完全=平坦、明瞭=ほぼ平面、
不明瞭=凹凸はあるが平面、なし=平面にならず凸凹
あくまでも割れやすさの指標は靭性となっています。
分かりやすい例で言うと
上にも上げたカルサイトやフローライトなど
叩いた際に割れた面がまっすぐになることを「完全」と表現されており
完全の劈開を持つものは劈開面以外の方向に割るのが困難で
形造るのは削るしかありません。
逆に劈開なしというのは割れないという表現ではありません。
なお方向をイメージしやすいように表現すると
1方向=板状になる(代表例:雲母類)
2方向=柱状になる(代表例:長石類)
3方向=6面体になる(代表例:カルサイト)
4方向=8面体になる(代表例:ダイヤモンド、フローライト)
6方向=12面体になる(代表例:スファレライト)
断口
読み だんこう
劈開面以外で割った際に出来る破断面の状態
貝殻状断口
貝殻の外側のような凹凸
オブシディアンやオパールなど多くの物でみられる
他片状断口
割れた断面あちこちから飛び出している状態で
雲母類の劈開面以外を割ったときによく見られる
針状断口
針のような線が多数見える断面の事
鉱物以外の金属の金属疲労で折れた断面によく見える物で
自然銀や自然銅など天然金属で見られる
土状断口
土の塊のようなでこぼこ
不平坦状断口
鋸刃状断口とも言う
書いて字のごとく断面がザラザラで凹凸のあるもの
平坦状断口
上記の不平坦状の凹凸の少ないもの
平滑状断口と言う場合もある
裂木状断口
木を折ったときのようなもの
裂開
読み れっかい
劈開面以外で起こる平坦な割れを
別の名称で裂開とされており、
主に双晶の境界のひずみによる割れや
インクルージョン由来で起こる平坦な割れを指している。
鉱物標本の結晶特性を完全に理解していないと
把握することが難しく
あまり一般的に広まっていない
比重
読み ひじゅう
4度の水を比重1.00として
それと比較してその鉱物の質量が何倍あるのかの指標。
分かりやすい例を言うと
1円玉と同じ大きさにした10円を比べるとどちらが重いですか?
というのを数値にしたものという感じでしょうか
条痕
読み じょうこん
鉱物そのものを粉にしたときの色の事。
塊の際に見える色と粉にしたときの色が異なることが大半で
ほとんどは白色の条痕だが
塊と同じ色を示すものやまったく異なる色を示すものなど様々。
基本的に素焼きの陶磁器にこすりつけて条痕を見るが
硬度が高い石の場合陶磁器が傷つき条痕が見れない場合もある。
IMA
読み あいえむえー
International Mineralogical Associationの頭文字を取った略称で
和名にすると国際鉱物学連合。
1958年に創設され
現在は38ヵ国の団体により構成されており
鉱物学の発展と鉱物名の世界的な統一を目標としており
この活動の中に新鉱物の命名と
既存鉱物の改名を目的とした、
1959年に創設された略称CNMMN
Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification
新鉱物・鉱物名委員会も含まれている。
このCNMMNにより新鉱物とみとめられたものには
IMA no.が付与され登録されている。
IMAに日本からは日本鉱物学会が参加。
2006年頃から既存鉱物名の統一変更だけでなく
既存鉱物のグループなどの見直しにも力を入れており
毎年何かしらの変化がある。
REE
rare-earth elementsの頭文字を取った略称で
和名で言うと希土類元素
単にレアアースと呼ぶ場合もある。
スカンジウムとイットリウム、
それとランタノイド系の元素番号57から71の
17元素の総称。
鉱物と鉱石の違い
最近よく耳にする「鉱石」と表現することについて
鉱石というのは特定の有用な資源を内包している石~岩石の総称で
精錬などを行うことによって資源を取る事の出来る石で、
鉱物は自然生成された無機質の個体と言う定義で
ここに有用資源の有無は含まれていません。
分かりやすい例で言うと「鉄鉱石」という
鉄を取るための鉱物を鉱石と表現しますが、
「鉄鉱物」というのは使いません。
その為本来の使い方からすると
資源を取るためではない石でも鉱石と表現することは
石の愛好家たちからすると受け入れられないものではあるが
昨今のAI回答では鉱石=磨くと宝石になるもの
鉱物=天然無機物 と混同した表現をされることがあり
混乱に拍車をかけたところはあります。
ただ厳密には資源目的の鉱物も
鉱物標本として販売されているのもたしかで
それらに鉱石標本とつけるのは間違いではない為
難しい所ではありますが
コレクター間では鉱石という表記はあまり好まれない
ポリタイプ
和名で言うと結晶多型となり
同じ化学組成で異なった原子配列を示す結晶を多形と言う。
ダイヤモンドとグラファイトを1例として出される場合もあるが
この場合は同一元素の多型と言えるので
正確には多型ポリタイプの例とは少し外れる。
分かりやすいたとえをすると
スポンジ・クリーム・果実の積み重ねのケーキがあるとして
スポンジをA、クリームをB、果実をCとあらわした場合
作る人(産地)が変わると
ABCABCと規則正しかったり、
ABCBCBACAなど違った重ねになっているが
口にすると味は変わらないという物が
顕微鏡サイズレベルで起こっていると考えると
少し分かりやすくなる。