カメレライト
0.03ct
トルコ産
Kammererite
カメレライト(ケンメルライト)
または
Chromian Clinochlore
和名:菫泥石
分類:珪酸塩鉱物(フィロ珪酸塩)
組成:Mg5[(Al,Cr)2Si3O10](OH)8
硬度:2-2.5
晶系/産状:単斜晶系/毛線状・偽六角板・偽斜方柱状
比重:2.55-2.75
条痕:白色
劈開:完全
断口:不平坦
光沢:真珠光沢
屈折率:-
発見年:1840年
名の由来はロシアの鉱山監督官だった A.Kaemmerer (ケンメラー:1789-1758) に
敬意を表して名付けられた。
独特の紫色が目を惹くこの石は
驚くべきは硬度2~2.5で、
和名にもあるように泥と表現されていることからも
分かるように非常に柔らかく、
なおかつ結晶1個1個が小さい為に
これがカット石になってることがすでに奇跡。
ルースとしては探してもそうは見つからない、
超絶レアストーンといえるでしょう。
鉱物としては緑泥石の
クロム含有の亜種とされているが、
原産のトルコではありふれた鉱物でしかなく、
一抱えはあろうかという母岩にびっしりと紫の本鉱が付いたものが
二束三文で売られていた時期もあったようだ。
原産地の東トルコのコップ山地では
1860年から1893年にかけて
クロム鉄鉱目的で大々的に採掘されていたのだが
景気変動により1893年にほぼ休止状態にまで陥ってしまった。
その後20世紀に入った頃に世界的にクロムの需要が増えたことにより
採掘が再開されたが品位が低く、あまり需要が満たせなかったために
大規模な採掘はストップし数人規模の露店掘りで細々と続けられる結果になった。
目的のクロム鉄鉱と共に鮮烈な緑のウバロバイトガーネット(灰クロム柘榴石)と
紫が特徴の本鉱カメレライトも出ることは気づかれてはいたが
これに価値を見出していなかったために、
選別過程で破砕され多くが失われる結果となっていた。
ようやく日の目を見ることになるのは
1970年代に入ってからで、
ドイツの鉱物学者の手元に本鉱が渡り、
興味を引かれた彼は妻と共に1975年にトルコへと渡り、
英語の通じる現地の鉱夫と共に
クロム鉱山に入り、結晶のびっしり生えた亀裂を見つけ、
現地の鉱夫に継続して採掘をお願いしてから
本人は良質の鉱物標本を持ち一旦帰国。
その後1977年に再度現地へ赴き、
大量の良質のカメレライトを入手することに成功し、
78年~90年代まで市場に流通することに成功したが
この過程で徐々に価値もあがっていった。
ただその後は新たな採掘品が出回ることが減り
枯渇したとも言われるが
市場価格が上がりすぎたためと
ある程度行き渡ったことによる売れ残りを危惧したためと言われている。
現在は枯渇とまでは行かないが採掘量が減ったことには変わりなく
特徴的な紫が人気を呼んで小さな結晶がびっしりついた標本は
高値がついている。
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次回更新日は明日10時です。