シナバー(辰砂)
ルース
0.50ct
中国湖南省鳳凰県・茶田鉱山産
ラフ
1.46ct
中国湖南省・張家界市産
シナバー(シンナバー)
Cinnabar
和名:辰砂
硬度:2.0~2.5
分類:硫化鉱物(硫化水銀)
晶系/産状:六方晶系/塊状、小粒状、柱状結晶、菱面体結晶、双晶
化学組成:HgS
劈開:1方向に完全
比重:8.09
屈折率:2.905~3.256
副屈折率:0.351(極大)
多色性:なし
蛍光:長波・短波共になし
条痕:赤褐色~緋色
主な色:朱赤色、帯褐赤色、褐色、黒、灰色、銀灰色、銀暗赤色
透明度を持つシナバーは非常に稀少で
中国でのみ産出し、基本的に金属光沢のある暗い赤色。
非常に高い屈折率と複屈折を持ってはいるが
基本的には不透明な為に
発揮されることはないが、
水銀を含むために金属光沢が非常によく出て
不思議な見た目になっている物が多い。
水銀を含む鉱物で今現在も水銀の主要な鉱石の一つ。
その起源は古く、紀元前に遡り古代より利用されてきた。
中国の辰省(現在の湖南省)から取れることで
辰砂と呼ばれていた。
鮮やかな紅色を示すことから、
この辰砂を原料とした顔料や絵の具も存在し
ヴァーミリオンと呼ばれていました。
(現在は水銀を含むため利用されていない)
英名の由来もkinnabaris
ギリシャ語で赤い絵の具という意味から来ています
ただし古代インドのサンスクリットが語源という説もあります。
始皇帝が不老長寿の薬として水銀を含む薬を服用していたことは有名だが、
当然水銀なので猛毒で命を落とす結果になったのは有名。
ちなみになぜそうまで水銀が重宝されたかですが、
常温で液体の金属だから
その特性に神秘性があると信じられていたそうです。
辰砂そのものはありふれた鉱物であり、
鉱物としてはレアではないですが、
これをカットしたルースとなると滅多に見つからないレアな物になります。
カットする際に水銀分が出るため扱いにも注意が必要になり、
怖いというのもありますが、
なにより透明度がなくファセットルースにする意味が少ないというのも
大きな理由の一つ。
とはいえ某アニメで人気が出たために
ルースを欲しがる人が増えた結果、
一時期それなりにルースが出回った時期もあるが
現在は探してもそうは見つからない石になっている。
硬度が低い為に扱いが難しいという部分もある。
主な産地は現在も中国産が有名ではあるが、
アメリカ(各州)、メキシコ、ペルー、
イタリア、スペイン、ロシア、ドイツなど
各地で産出する。