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寝て起きたら森でした

広がる青空、そして周りを彩る新緑。

何故だか分からないがどうやら私は森で寝ているようだ。


こういった場合「もしかして異世界転生!?」と思うのが定石なのだが、私の場合そうもいかない。

なぜなら私の愉快なお友達は私を含め、みんなサプライズやドッキリが大好きなのである。

そして30歳半ばを越え、ある程度お金もゆとりもできた頃からそのサプライズやドッキリはスケールが大きくなってきている。

ーゆえにこれは「寝て起きたら森でしたドッキリ」の可能性があると言うことだ。


仰向けのまま私は辺りを見渡してみる。景色にまるで見覚えがない。

ただ、私の住んでいる地域はド田舎なので10分も歩けば森に入れるしよく考えてみれば森の中なんて特徴のないところは見覚えがなくても当然と言える。


そういえば異世界系のお話で「ステータス」と言えば自分の情報がゲームのように出てくるのがあった。

いやでもちょっと待て。これがもしドッキリだった場合、おそらく距離をとったところから今も様子を見られているはずだ。

過去に「寝て起きたら海でしたドッキリ」を仕掛けたことのある私が言うんだ間違いない。

ここで私が1人で「ステータス」なんて言ったら最後、何年も先まで笑いのネタにされるだろう。


とりあえず起きた事を分かりやすくする為に立ってみる事にした。

もし私の様子を見ているのであれば、ぼーっと立ってるだけの撮れ高のない私に痺れを切らして向こうからネタばらしにやってくるはずだ。


とはいえ実は異世界でしたの可能性も捨てきれない。昨日の記憶をよく思い出してみようー。

昨日はー・・・そうだ、大きな仕事が片付いて久しぶりの3連休だから自分へのご褒美としてデパパ地下のお惣菜パーティーを1人で開催していたんだった…。

お惣菜と共に高いシャンパンを1人で空けて「この幸せな状態で死にたい」とボヤいたのは覚えている。

その先の記憶が無いのは酔っ払って寝ちゃったからだろうなー…。


神様だか女神様だかと「転生するから特別なスキルを与えよう!」とか「君は選ばれし人間だ!」のくだりをやった記憶もない。

これはもうドッキリの可能性のほうが高くなってきた。



はぁ…。

大きな溜息を1つついたところで後方の茂みからガサガサっと音がした。


おっ!ついにネタばらしの時間か?!と勢いよく振り向くとそこにはー・・・



・・・―――――鹿ァァア?!?!

鹿がいる。野生の鹿がいる。紛うことなき鹿がいる。



え、鹿って思ってたよりでかいね?!こういう時ってどうするんだっけ?死んだフリするんだっけ?あ、それは熊か。いやそもそも死んだフリするっていうのもガセなんだっけ?!てか無表情の鹿ってめちゃくちゃ怖いな?!何考えてるかさっぱり分からないのがより一層の恐怖心を煽るね?!

と脳内パニックになっていると、鹿も同じように感じたのか元の茂みに戻って行った。


…ッぷはー!!

どうやら無意識に息を止めていたらしい。

100mを全力疾走した時のように心臓がバクバク鳴っている。


これでネタばらしに来ないという事は、ドッキリではないのであろう。私はまた鹿に遭遇するのも怖いので鹿がいたのと反対の方向に歩みを進めた。


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