表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/51

未来へ羽ばたく家⑥

「おいおい、冗談だろ」

 

最後のページに書かれていた文字を読んだ藤堂は、思わずそう口にした。

 

するとその時、ズボンのポケットに入れていた携帯が鳴った。


「ちょうどよかった、今すぐ霧島の家に来てくれないか?」

 

電話をかけてきたのは松野だった。

 

だが、彼女は藤堂の言葉を遮るように、

「藤堂さん!早く、早く来てください!」

ひどく慌てた様子でそう言った。

 

松野から何があったのか聞いた藤堂は、霧島家を出ると急いで車を走らせた。


「松野!迫間は!?」


署に戻った藤堂は、デスクに座っていた松野に言った。


「藤堂さんに電話をしたすぐ後に、死亡が確認できたと連絡がありました」


藤堂が迫間の面会に行ったすぐ後、彼は自分の舌を噛み自殺を図った。

 

舌を噛むことで出た血が喉で固まったことによる窒息死であった。


「結局、迫間は何がしたかったんでしょうか?」

 

真相に辿り着く前に迫間が死んだことがショックだったのだろう。

 

松野はかなり落ち込んでいる様子だった。

 

そんな彼女に、藤堂は一冊の本を手渡した。


「『夕殺人の這う範囲』じゃないですか。どうしたんですか?」


「霧島の家にあったものだよ。いいから、読んでみろ」

 

藤堂からそう言われた松野は、赤い文字で何かが書かれているページを見つけた。

 

そして、赤い文字で書かれている内容を読んだ彼女の手が、小刻みに震えた。


「・・・まさか、冗談ですよね?」

 

松野は目を丸くしながら藤堂の方を向いて言った。


「俺だって冗談だと思いたいさ。でも、冗談にしては話が出来すぎだろ」


「霧島さんは、今どこにいるんですか?」


「ドラマの撮影だとよ。一昨日から福岡に行ってるって、家政婦が言ってたよ」

 

それを聞いた松野の顔が、一気に青ざめた。


「・・・藤堂さん、霧島が行ったのは本当に福岡ですか?」

 

松野からそう言われ、藤堂はようやく自分の失態に気が付いた。

 

彼の部屋でこの本を見つけた時点で、撮影の話を疑うべきだった。


「クソッ、ドラマの撮影って話自体が嘘ってことかよ」


藤堂は慌てて霧島誠に電話を掛けたが、既にその番号は使われていなかった。


「藤堂さん、どうします!?」


「霧島の家に行くぞ。霧島誠と迫間鉄平は、最初からつながっていたんだ」

 

藤堂と松野は霧島家へと向かった。

 

霧島誠の書斎を調べていた二人は、

机の引き出しの奥にしまってあった一冊のノートを見つけた。

 

ノートの表紙には、

【『夕殺人の這う範囲』計画】

と書かれており、その中には霧島勇太の誘拐事件を含めたすべての真相が書かれていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ