表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/51

勇太くん誘拐失踪事件②

児子原島で起きた事件から一年が経ち、

唯一の生き残りである霧島は一冊の推理小説を書き上げた。

 

『夕殺人の這う範囲』というタイトルがつけられた彼の小説は、

一般的な小説とは少し異なる仕様で書かれており、

読者が正解と思う選択肢を選びながら読み進めていくという手法が用いられていた。


彼は自分が執筆したその作品を『選択型小説』と名付け、

小説における新しいジャンルを確立した。


とはいっても、それはいわゆるゲームブックを模したものに過ぎないことは、

彼も十分に理解していた。

 

だが、彼が確立した新たなジャンルの小説は好評を博し、

加えてその内容も児子原島殺人事件に類似している箇所が多々あったことから、

唯一の生き残りである彼が書いた物語に関心を寄せる者が非常に多かった。




「ここ数年で、あそこまで大きな事件は珍しいからな」

 

藤堂は小説の裏表紙に書かれているあらすじに目を通しながら言った


「そうですね。でも、あんな事件に巻き込まれて、今度は息子さんが誘拐されるなんて、

あまりにも災難すぎますよね」


「たしかに、こんな俺でもさすがに霧島さんには同情するよ。

勇太君の件は世間には公表しない方向で進める予定だからな。

霧島さんには今まで通り仕事に行ってもらい、

人前では何も無かったように振舞うようお願いはしたが、

心中穏やかってわけには当然いかないだろう」

 

犯人から何の連絡も無い今、勇太の失踪を世間に公表することは控えようという警察の提案に、

勇太の父である誠も同意した。


「勇太君、無事だと良いんですけど」


「俺たちも今日はもう休もう。

明日は朝から霧島さんの家で今後の対策を相談しなきゃならないからな」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ