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【16-10】大富豪の部屋
【大富豪の部屋】
「やはり、ここにいましたか」
私は大富豪の部屋に入ると、彼の部屋にいた《あの人》に言った。
「さすがは名探偵。全てお見通しってわけだ」
彼は私がこの部屋へ来ることを最初から分かっていた様子だった。
「私を誰だと思っているんですか。
数多の難事件を解決してきた、言わずと知れた名探偵ですよ」
すると彼は笑いながら、
「やはり君をここに呼んで正解だったよ」
と言った。
大富豪の部屋にいたのは、亡くなったはずの大富豪本人だった。
今回の事件の《真犯人》は、他でもない彼自身だ。
しかし、なぜ彼はこんなことしたのか?
それについては、この後でゆっくりと順を追って説明することにしよう。




