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【16-8】名探偵の部屋
【名探偵の部屋】
この事件の真相に気付いた時、私は《あの人》の共犯者になった。
最初から全てを知っていれば、《あの人》の共犯者になることも無かったし、
今回の事件に首を突っ込むような真似もしなかっただろう。
だが、真相に気付いた時、私は既に事件の渦中にいた。
途中で投げ出すことができなかった私は、仕方なく共犯者になる道を選んだのだ。
私は何度も自分に問い質した。
本当にこのままでいいのだろうか?
名探偵として、私は間違った選択をしようとしているのではないか?
何度も自分に問い質したが、ここまで来たら最後まで付き合うしかないと思った。
《あの人》が仕掛けたこの事件を、《あの人》が望む結末へ導くために。
私は今回の事件の《共犯者》だ。
真犯人の《あの人》は、私が共犯者になることを最初から分かっていたのかもしれない。
私は初めから、あの人に手のひらの上で転がされていたのかもしれない。




