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【15-1】大富豪の想い

【大富豪の想い】


時刻は既に朝の七時を回っていた。


「皆さん、部屋から出てきてください!」


部屋の前に仕掛けておいたワイングラスのトラップを回収した私は、

部屋の中にいる招待客達に聞こえるようにそう叫んだ。


私の声を聞いた八名の招待客達は、次々と部屋の中から出てきた。


「皆さん、お待たせしました。謎は全て解けましたよ」


招待客達にそう伝えると、

「いったい誰が犯人なんですか?誰が大富豪さんを殺したんですか?」

すかさず女優が私に尋ねてきた。


「申し訳ありませんが、今ここでそれを伝えることはできません。

皆さんの安全を守るためです。

ですが、どうか安心してください。

大富豪さんを殺した犯人が、これ以上何かをすることはありません。

それは絶対です。だから、どうか安心して船が到着するのを待ってください」

 

私のその言葉を聞いた招待客達は、納得していない様子だった。

 

彼らが納得しないのも当然だ。

 

自分の真横に立っている者が、大富豪を殺害した犯人なのかもしれないのだから。

犯人が誰だったのかを伝えない限り、彼らが納得することは無いだろう。

 

だが、それでも私は大富豪を殺害した犯人をこの場で言うわけにはいかなかった。


「それと、皆さんにお伝えしておかなければならないことがあります」

 

私はそう言いながら、ズボンのポケットにしまっておいた一枚の紙を取り出した。


「この紙は、大富豪さんの上着のポケットに入っていたものです。

紙には皆さん一人一人に宛てたメッセージが書かれていました。

皆さんをこのパーティーに招待したのは、

きっとここに書かれていることを伝えたかったからなのだと思います」

 

私は大富豪に代わり、彼が遺したメッセージを読み上げた。




〝メイドさんへ〟

何年もの間、私のそばにいてくれてありがとう。

私が一番に信頼し信用していたのは、他でもないあなたです。




〝小説家さんへ〟

私はあなたが描く物語の一番のファンです。

どうか、私の物語をあなたの手で書いてください。




〝パティシエさんへ〟

私はあなたが作り出す味が大好きです。

あなたの店は絶対に潰させません。

どうか安心してください。




〝弁護士さんへ〟

私の資産や財産の使い道については、全てあなたにお任せします。

パティシエさんのお店も、よろしくお願いします。




〝俳優さんへ〟

一人の男として、あなたの事を尊敬しています。

女優さんのこと、よろしくお願いします。




〝女優さんへ〟

あなたと過ごした日々は、私にとってかけがえのない宝物です。

私のことを愛してくれて、ありがとう。




〝記者さんへ〟

あなたが取材した記事は、どれも素晴らしい。

これからも、人々の興味や関心を引く記事を書き続けてください。




〝医者さんへ〟

色々と迷惑をかけてすいませんでした。

頼みましたよ。




「それでは皆さん、お昼前には船が到着するはずです。

それまでに身支度を済ませて、自室でゆっくりと過ごしてください。

私のことを信じて、どうか安心してください」

 

私がそう言うと、八名の招待客達は自分の部屋へと入っていった。

 

あと数時間もすれば、迎えの船も到着するだろう。

 

私は最後に、犯人と直接会って話をすることに決めた。

 

私の推理が正しかったことを証明するために。




犯人と話をするために私が入ったのは、いったい誰の部屋だったのか。




弁護士の部屋に入ったのなら、【16-1:弁護士の部屋】へ。


俳優の部屋に入ったのなら、【16-2:俳優の部屋】へ。


女優の部屋に入ったのなら、【16-3:女優の部屋】へ。


記者の部屋に入ったのなら、【16-4:記者の部屋】へ。


医者の部屋に入ったのなら、【16-5:医者の部屋】へ。


パティシエの部屋に入ったのなら、【16-6:パティシエの部屋】へ。


小説家の部屋に入ったのなら、【16-7:小説家の部屋】へ。


名探偵の部屋に入ったのなら、【16-8:名探偵の部屋】へ。


メイドの部屋に入ったのなら、【16-9:メイドの部屋】へ。


大富豪の部屋に入ったのなら、【16-10:大富豪の部屋】へ。




あなたも既に気付いている通り、今回の事件には《共犯者》がいる。

 

当然共犯者にも話を聞く必要はあるが、

私がまず初めに入ったのは、共犯者ではなく真犯人の部屋だ。

 

あなたが選ばなければならないのは、《真犯人》の部屋だ。




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