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【14-3】土を詰めた大きな植木鉢

【土を詰めた大きな植木鉢】


二階にある十部屋の客室とは異なり、正面玄関や裏口は誰でも利用することが可能だ。


そのため、別荘から出たのは誰なのかという個人を特定することは不可能に近いだろう。


このトラップを仕掛けた意図は、

『〝何者〟かがこの別荘から出たかどうか』

という個人の特定ではなく、

『何者かがこの〝別荘から出た〟かどうか』

という事象を確かめるためである。


犯人が逃げるために〝別荘から出た〟か。


凶器を海に捨てるために〝別荘から出た〟か。


何かを確認するために〝別荘から出た〟か。


事件はこの別荘の中だけで留まっているのか、

それとも孤島全体を調べる必要が出てくるのか。


そのどちらかを事前に把握しておくだけでも、

今後の推理における精神的な負担は大きく変わってくる。

 

結論から言うと、私が仕掛けたトラップは作動していなかった。

 

つまり、誰もこの別荘からは出ていないという事だ。

 

この場合の『誰も』というのは、当然大富豪の遺体も含まれている。



  

トラップを仕掛けるうえで重要な点はいくつかあるが、

トラップの存在自体を犯人に知られてはいけないというのが最も重要な点になるだろう。

 

客室の扉の前に置いた十脚のワイングラスも、

部屋の中からその存在を認識することは不可能であった。


今回も同様に、トラップの存在を犯人に知られるわけにはいかない。

 

以上のことを踏まえたうえで私がトラップの道具として選んだものは、

土を詰めた大きな植木鉢だった。

 



恐らく犯人はいつも以上に五感を研ぎ澄まし、様々な部分に注意を払っているに違いない。

 

犯人の五感を刺激することのない、犯人の五感をかいくぐるようなトラップが必要だ。

 

そこでまず注意しなければならないのが『聴覚』だろう。

 

犯人は音に敏感になっているはずだ。

 

そして聴覚と同じくらい注意しなければならないのが『視覚』だ。

 

先程も言ったように、犯人にトラップの存在を知られてしまっては意味がない。

 

土を詰めた大きな植木鉢は、赤ワインを入れたワイングラスのトラップを応用したものだ。

 

ワイングラスの時と同じように扉からすぐの場所に置いておき、

何者かが扉を開けた際に倒れるようにしておけばいい。

 

もしそう考えてこの選択肢を選んだのだとしたら、それは不正解だ。

 

よく考えて欲しい。

 

今回は先程のワイングラスのトラップを仕掛けた際と状況が異なっている。

 

ワイングラスのトラップを仕掛けた際は、片方が部屋の中におり、

もう片方が部屋の外側にいたからこそ仕掛けることが出来たトラップだ。

 

だが今回については、

『外に出ようとしている何者』と『私』の両者ともが部屋の中にいるという状況だ。

 

状況が異なるため、

ワイングラスのトラップのように土を詰めた大きな植木鉢を扉のすぐ近くに置くことができなければ、

確認することもできない。


 


この道具を使用することは不正解であったが、

もしよければ改めて正解だと思う道具を考え選んで欲しい。

 

そして、あなただけにヒントをあげよう。


私がワイングラスのトラップを仕掛ける際に言ったアドバイスを覚えているだろうか?

 

何事も、『念には念を』入れることが大切だ。



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