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画面の中の美少女へ  作者: 紅井さかな
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序章


閲覧ありがとうございます。


至らない点があるかと思いますが楽しんでいただけますと幸いです。



光が入らない真っ暗な部屋がある。ここはどこなのだろう。どこまでも闇が続くかのように物音の一つもしない。暗すぎてどこに目を向ければいいのか分からない。


突然、部屋の真ん中にスポットライトが当たった。眩しくて初めは直視できなかった。明るさに目が慣れた頃に、よく見るとそこには椅子に縛られた少女の姿があった。少女は眠っているのかうつむいて動かない。いや、眠らされているのか。


足音を立てず地を這う蛇のごとく何者かが少女の背後に回って来る。全身黒服で顔も隠している。身長は高いが男か女かもわからない。声を発することもない。

そしてプレゼントにリボンを巻くかのように丁寧に少女の首にロープを巻いた。



黒服がこちらに向かって手の平を見せて来る。黒い手袋をしたその手は、ゆっくりと余裕のある動きで指を折る。




5……4……3……2……1……。


ギュッ。




黒服が力いっぱいロープを縛る。


「ハッ」と少女が息を吸う音がした。目覚めた少女は動かせない身体で必死に抵抗している。一生懸命に口を動かしている。



「助けて……たす……けて……」



部屋はまた、闇に飲まれるように真っ暗になった。







少女が殺害される動画がSNS上に投稿された。その少女はSNSで大人気の現役女子高校生。名前はマリア。インフルエンサーとしても活躍していた。


殺害動画は投稿後、たった一分で削除されたが、多くの人が目にしてた。「マリアはどうなったの?」「いたずらにしては変じゃない?」などと多くの憶測が飛び交った。ネット中が混乱していた。


その十分後、マリアのSNSは新たに更新される。文章は何もなく、白いスミレの写真だけが投稿された。


マリアは元々、花が好きだった。綺麗な花を見かけるたびに、このように写真を投稿していたのだ。この投稿を見て、多くのファンが安心したようだった。「ドッキリだったのか」「お花綺麗!マリアちゃん元気みたいで良かった」と。




皆、何も疑問を持っていないようだ。




しかし俺は震えが止まらなかった。安心なんて出来る訳がない。マリアはどうなってしまったのだろう。





白いスミレの花言葉はいくつかある。「あどけない恋」「無邪気な恋」「純潔」






そして「乙女の死」

 






最後まで読んでいただきありがとうございました。


※花言葉は諸説ございます。

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