悲劇が止まらぬ現実世界にて とある新人刑事(5)
「そして今日の夜、その思いを、実行に移す。
不思議と、悲しくもなければ、寂しくもなかった。むしろ、達成感の様な喜びが全身を支配して、もう
自分に迷いはこれっぽっちもなかった。
父さんが倉庫の鍵を保管する場所は知っていたし、此処は従業員でも週に一回くらいしか入らない場
所。
正直、この世界に言い残したい事とか、思い残した事なんてない。でもそうだな、あえて言い
たのには
さよなら 『地獄』と『餓鬼』
僕はお前達を許さない 輪廻転生しても尚
お前達を許さない」
「「・・・・・・・・・・」」
俺と先輩は、ただただ唖然とするしかない。最後に書かれていた遺書の紙に綴られていた文字は、だいぶ霞んでいた。
それは、彼自身の恨みや妬みの片鱗が現れている様に見えた。彼が遺書に残したのは、純粋な『怒り』と『憎しみ』だ。
今まで誰にも相談できなかった、ぶつける事ができなかった悩みが、びっしりと紙に書き殴ってあった。
だが、それがほんの一部でしかない事が、何となく想像できる。
彼が直前まで、どれくらい精神がボロボロだったのか、正常な判断ができていなかったのかが、その文面だけでも分かってしまう。
「これは・・・やっぱりあの学校、問題しかなかったんですね。」
「・・・上の連中がやかましくなりそうだな。」
「でも、この遺書をそのまま隠滅するのは・・・」
先輩の言っている事は分かる、もしこの遺書が世間に公表されれば、我々としても『覚悟』を決めないといけない。
そして、一番その覚悟を決められないのが、上の人間達。
先輩は大きなため息をついた後、いつの間にか持って着ていた、ウィダーゼリーの蓋を開け、口に含むと、こう言った。
「・・・やるしかないだろ。」
そう言って、先輩は口に含んだウィダーゼリーを飲み下した。
ようやく現実世界に動きがある
だがそれが ほぼほぼ全てが終わった後
彼女達の理想が叶う事は 結局無かったのである




