序章3 いよいよ舞台へ・・・
「・・・で、あるからして、これからも我々は、王都の国民のみならず、この国全土の民が、今年も安心
して生活を重ねられる、平和な一年を支える為、我々は皆に尽くそう。
これからも、我らがオオヒモト帝国の更なる繁栄と安泰を、皆で願おうではないか。
・・・そして、皆に紹介したい人物・・・いや、『可愛らしい女の子』がいる。」
突然陛下からそんなお茶目な言葉が出るとは思わなかったから、つい口から息が大量に吹き出てしまう。舞台下から見ていた人々は、皆笑みを零していた。
そんな紹介をされたら、更に出にくいんだけど、もう仕方ない。笑われる事前提で出てしまえばもう怖くない!!・・・筈!!!
「じゃあ・・・
コン、来なさい。」
陛下は小声で、私を手招きする。私はもう腹を括って、颯爽と舞台を歩いてやった。
すると意外にも、舞台下から歓声が湧き上がっていた。てっきりシーンと場が白けると思っていたんだけど・・・
私は途中で足を止め、「・・・えっ?」と言いそうになる感情をグッと堪え、そのまま舞台の中央に立つ。
正直まだ心臓バクバクで、周りにいる皆に聞こえそうだったけど、もうなりふり構っていられない。
こうなったら失言でもなんでもいいから言っちまえ!!!
「彼女が、アンの正式な花嫁候補として、去年から私達と共に生活をしている
『コン・シルフォ』
もう既に周知していると思うが、彼女は王都出身ではなく、山奥にある『人獣の里』出身である。
見た目こそ我々とは違うが、思考や価値観は完全に私達と同じ。王妃の趣味に付き合い、私と共に絵を
嗜む事もある。」