序章3 いよいよ舞台へ・・・
大衆の面前で言葉を述べるのは初めてなコン
だが かつてドラゴンを相手にした彼女にとっては
抱えるのが『緊張』だけで済む 安易な仕事であった
そしていよいよ、新年の挨拶を述べる時間が迫って着ている。
兄とバカラさんは自分の持ち場でスタンバイ中、ウルシ君は舞台の後ろから私達を眺める事に。舞台の奥から皆をよく見てみると、トゥーソさんもしっかり着飾って来てくれている。
その他にも、私がトゥーソさんと話している時、ちょくちょく様子を見に来ていた、レストランのおじさんも、舞台の端で屋台を開いている。
本当は買いに行きたいんだけど、また今度にしよう。やっぱりこの時期は、稼ぎ時の店が多いんだな。
カウントダウンの際、この舞台では様々な人が芸を披露したり、楽器を演奏したりと、カウントダウンに負けずを取らずの盛り上がりを見せていた。
どうやらこの舞台を設置するのも、兵士の務めなんだとか・・・
これ設置するのも大変だけど、撤去するのも大変だろうな。こうゆうお祭りって、準備するのも後片付けるのも大変だよね。
でも、こうゆう季節や年の節目に、こうして皆で盛り上げれるなら、労力は大したものではないのかもしれない。
「・・・コン、じゃあ最初に私達が舞台に立つから、名前が呼ばれたら舞台に上がってね。」
「はい。」
まず最初に、陛下と殿下二人が舞台上に上がり、最初の挨拶を述べる。私は舞台裏で心臓をバクバクと唸らせながら、舞台袖で震えていた。
そんな私を見かねて、近くにいたメイドさんが、私の背中を優しく撫でてくれる。
心臓の鼓動で体が小刻みに震え、口からもカタカタと歯がぶつかり合う音が聞こえた。
こんなに緊張したのは、王都に初めて来た時以来かもしれない。正直この感覚、完全に忘れていた気がする。