序章2 髪結い
ちなみに、私の兄もちょっと癖っ毛。でも髪が短いから、そこまで目立たない。
バカラさんは今も昔も変わらず、綺麗なくらい真っ直ぐだな・・・
・・・そういえば、ウルシ君は私よりも癖っ毛が目立っていたな。目まで隠れるくらい前髪が長かったけど、後ろはそこまで伸びていない。
ただウルシ君の場合、『遺伝』の問題なのかは分からないけど、相変わらずモシャモシャ髪。でもそうゆうところも、私は好きだけどな。
ほら、人によっては真っ直ぐな髪が似合う人もいれば、癖っ毛髪が似合う人もいる、その理論だ。
見え隠れするウルシ君の紅い瞳が、ミステリアスで魅力的だ。
そんな瞳を不意に見せられると、長年姉をしている私でも、ついドキッとしてしまう。
ウルシ君が貴族や王族に気に入られる一因は、もしかしたらその前髪に隠されているのかも
・・・・・なんてね。
ガチャ
「姉さん、遅くなってごめん。」
「お!! ウルシ髪結んだのか!!」
「あれ?
兄さん達も来てたんだ。自分はあのままでもよかったんだけど、勝手に・・・」
ウルシ君は、恥じらいながら結ばれた後ろ髪を指でいじる。その顔は、完全に照れていた。
・・・もしかしたら、首がスースーして違和感があるのかもしれない。
私はこの世界でその感覚を初めて体験したけど、その気持ちはすごく分かる。
普段から髪で隠されている部分が露呈していると、何故か恥ずかしく感じてしまう不思議な錯覚。別に恥じる事でもないにも関わらず。
それにしても、、ウルシ君の髪も随分伸びたな。
私は1ヶ月に一回程度切ってもらうんだけど、ウルシ君はずっと伸ばしっぱなし・・・なわけないよね。
・・・もしかして、人に切られるのが嫌だから、自分で切ってるのかな?