沼地の村にて 教官は赴く(2)
そんな光景を日々見ていたお袋は、心を病むどころか、むしろ感心していたそう。
「陛下の目は間違っていなかった」なんて、まるで陛下の『母親』みたいなセリフを呟いていた時もあった。
でも、やはり兵士や訓練兵の世界でも、『頑張れる人』と『頑張れない人』では、天地の差がある。
日々努力を怠らず、自分の欠点や弱点を正面から見て、自分自身を高めようとする訓練兵は、成長のスピードが速い上に、質も良くなる。
逆に、たまにしか訓練に参加しない、もしくは『基本』しか学ばず、自身の欠点や弱点を隠すか、見て見ぬフリばかりする訓練兵は、成長スピードが遅いか、平均並み。
その上、身分や地位の為、ずる賢い手段を用いる人間が、それ以下である事は、多くの訓練兵を見てきた教官である俺が、よく知っているつもりだ。
双方に自覚はない、他者から見れば、その違いはよく見える。
だからこそ、そうゆう部分はそれぞれの『素質』というか、簡単に直せない面である事も、重々承知している。
だからこそ、訓練兵になったばかりにも関わらず、熱心に自身の成長に努めるギンを見た時から、彼がとんでもない逸材である事は分かっていた。
だからこそ、彼は兵士長の『お気に入り』だったのだ。
決して俺達に媚びるわけでもなく、身分を縦にするでもなく、実力のみでのし上がる人材は、俺としても逃したくなかった。
だが、本人が『兵士』になる道を選んだのなら、俺が『教官』の道を進めるのは、お門違いだ。
そして、王女候補となったギンの妹、確か・・・・・『コン』だったか?
コンさんが自ら『王女』になる道を選んだのなら、俺達が口を挟むべきではない。
女王陛下は、コンさんに昔の自分を合わせているのかもしれない。身分も地位もない状態のコンさんを一番理解できるのは、女王陛下だ。
女王陛下も、さぞかし嬉しいのかもしれない。今までずっと、趣味であった『薬の調合』を、可愛い『助手』と一緒に楽しめているんだから。
女王様の作る薬の質や効能が上がったのは、『助手』のおかげだろうな。
アン殿下もヴァル殿下も、そこまで薬学に興味を持たなかったからこそ、女王陛下にとっては、『待望の娘』だったのかも。




