序章 新年の幕開け
「・・・よしっ!! できたぁ!!」
やけにハイテンションになったお義母さんの声に驚き、私が目を開け、鏡に映る自分の顔を見て、驚きを隠せなかった。
そう、その鏡に写っていたのは、『私』ではない『私』
・・・いや、正確に言えば『私本人』なんだけど、今までに見た事のない自分に、一瞬疑ってしまった。
「何かの・・・ドッキリかな?」なんて思ったけど、片手で自分の頬に触れた時、改めて自分の顔がどれほどまで劇的に変化したのかを自覚できた。
私は息を呑みながら、その場で固まってしまう。お義母さんはハイテンションになったまま、アン達を呼びに言ってしまう。
正直恥ずかしいから見せたくない気持ちもあるんだけど、それよりも何故か、見せたい気持ちが優っている。
こんな感情になるのは、初めてな気がする。これって・・・私に自信がついた証拠・・・なの?
改めて鏡をよく見ると、かなり細かい箇所までしっかり塗られている。それこそ、陛下の画力くらい繊細だ。
お義母さんは絵ではなく、メイクの腕が良いのか。ある意味『似た者同士』なのかもしれない。
こんなに良いメイクをさせてもらったら、確かに誰にも見せないわけにはいかない。
・・・ひょっとしたら、『新年祭典』に合わせて、『紅』を中心としたメイクにしてくれたのかも。