〜大きな物語〜 第一話 遠い空の向こう側
この度は私の作品を開いていただきありがとうございます。この作品はまだ完結していませんが新しい章が完成次第投稿させていただきます。今しばらくお待ちください。更新までに時間がかかる可能性があります。感想を送っていただけると作業スピードが向上するのでよろしくお願いします。ではみなさん。そろそろ冒険が始まります。お気をつけて行ってらっしゃいませ。
第一章 大きな物語
第一話 遠い空の向こう側
「おいザック、なにボケーっとしてるんだ。これだから営業成績が伸びないんだ。」
なんで僕がこんなことを言われなければならないのだろう。営業成績なんてそう簡単に伸びるものでもないし。
「はい、わかりました。今後は注意します。」
また言いなりになってしまう。うんざりだ。こんな企業辞めてやる、と言いたいが僕には家族がいる。家族を養うためには働かなければならないのだ。しかし、こんな僕にも唯一の楽しみがある。それは家に帰って家族と会うことだ。僕の家はボロボロのアパートで今小さな一軒家を買うためのお金を貯めている。僕には妻がいる。妻の名前はアシュという。そして僕と妻の間には目に入れても痛くない6歳の可愛い息子ザシュがいる。妻はとても優しく帰りの遅い僕に毎日ご飯を作ってくれて幸せな時間を過ごしていた。その頃息子はというとグーグーいびきを立てながら寝ているのだった。妻に話を聞くとザシュは僕の帰りをウキウキして待っていたそうだが眠たくて寝てしまったそうだ。食卓での楽しいひと時を終えた後、水垢だらけの洗面台で顔を洗う。タオルに冷たい水がゆっくりと染み込んでいく。それをゆっくりと顔に近づけて顔を覆う。気づいたらまた次の日の朝になっていた。おそらくあのまま寝てしまったのだろう。そこを見つけた妻がベッドまで運んでくれたそうだ。まだ誰も起きていない早朝に妻が作ってくれた弁当を手にして家を後にする。空からは今にも雪が降り出しそうだ。道路脇の雑草には霜が降っており出歩いている人のほとんどがジャケットを着て妻の手作りだろうか、ニットを深くかぶっていた。そういえば仕事があるだけでもいい方だって前祖父が言ってたけな。ふとそんなことを思い出す。一昔前まで2050年にシンギュラリティとかいうものが起こるとされていたんだとか。今はもう2060年ですでにそのシンギュラリティというものは起きている。しかし営業学の専攻をしていた僕は運よく職につくことができたのだ。ふと、空を見上げる。そこにはきれいな空が広がっていた。真っ白な入道雲が一つずっしりと佇んでいるように見えた。入道雲の形がありえない勢いで変化していく。それと同時にサイレンが鳴り始める。パニックになった人々は逃げ惑い、踏み潰されて死にそうになっている人たちも現れた。僕は急いで道路脇にあるシェルターに飛び込んだ。大きな音とともに衝撃が走る。僕はシェルターの壁に叩きつけられた。それからどのくらい時間が経ったのだろうか。僕は周りの人々の声で目を覚ました。他のシェルターの連中だ。安否の確認に来たそうだ。
「大丈夫か。怪我はあるか。」
「大丈夫ですありません。」
こいつらなら大丈夫だろう。ここで仲間を作っておかないと後々生き残れない可能性がある。
「なあ、あんたたちはどこのシェルターから来たんだ?」
「西区3丁目の小さなシェルターだ。」
これはチャンスだ。ここのシェルターは大きく、現在僕たちしかいない。また物資も充実している。
「ここのシェルターで一緒に生活しないか。ここのシェルターには僕たちしかいないし、物資も充実している。」
「ありがとう。では一緒に生活させてもらうよ。」
こうなればもう完璧だ。その後いろいろ話を聞いたのだがさっき話していたのが男たちのリーダーでジョンというそうだ。そして隣にいるのはその友達のジョーとジャックという男たちだそうだ。まず一番大切なのは道具を揃えることだ。ここのシェルターはブレイカーが落ちていて暗くほとんど何も見えなかった。しかしジャックは電気主任技術者の資格を持っているらしく修理ができるとのことらしい。彼は常に携帯している作業キットと懐中電灯を取り出しブレイカーを探し始めた。その途端懐中電灯から火花が散り電気がつかなくなった。これもあの「何か」の影響だろう。吹っ飛ばされて壊れたのか、あるいは電磁波か、細かいことはわからない。全員が絶望感で埋め尽くされた。しかしジャックは言う。
「みんな、まだ助かる手はあるこれは初めての試みだけど目が見えなくても俺の勘と耳と触感で直して見せる。」
全員の顔をはっきりと見ることはできないが少し表情が明るくなったのを感じた。全員が手で壁を触りながらブレイカーを探した。なかなか見つからないまま一時間が経過したその時だった。僕の指先に細い線が触れた。これだ。ブレイカーだ。
「おーい、ブレイカーを見つけたぞ。」
ジャックが駆け寄ってくる。ジャックは顔をしかめる。
「これは二〇一式だ。俺の苦手な機種だ。」
「おい、ジャックお前ならできるさ妻や娘がいるんだろ。迎えに行ってやるんだろ。」
ジョンが言った。その瞬間僕は思い出した。今まで目の前のことに夢中になっていて大切なことを忘れていた。妻と息子がいないのだ。とんでもない喪失感に襲われた。まるで宇宙の中に僕が一人佇んでいるようだ。胸がぎゅうぎゅうと締め付けられる。痛い。気がつけば目から涙が溢れ出してその場に崩れ落ちて叫んでいた。
「アシューーーーーー、、ザシューーーーーー、、」
全員が僕を見つめる。そしてジョンが気まずそうに言う。
「ごめん。いらないことを言ってしまった。」
僕はゆっくりと立ち上がり袖で涙を拭った。
「大丈夫さ。絶対に迎えにいくから。例えどこにいようとも。例えあの遠い空の向こう側にいようとも。」
この度は私の作品を読んでいただきありがとうございます。どのような伏線が見つかったでしょうか。友達と話してみるのも面白いかもしれませんね。冒険はまだ終わっていません。次の章が完成するまでお待ちくださいませ。