迷路
目が覚めると見知らぬ通路で倒れていた。
「ここは…」
どこを見渡しても真っ白な世界が広がるばかり。
右の壁に手をついて、ふらつく身体を奮い立たせ歩く。
「うわっ」
曲がり角があったらしく、ズルっと倒れてしまった。
だけど曲がったところでまた通路が続く。
ガコンッ
「え…」
後ろを向くと、さっきまで自分がいた通路が塞がれており戻れないようになっていた。
「くそ……戻れなくなった」
倒れていても意味がないと思い、立ち上がってまたゴールの見えない道を歩き始める。
だけどいつまで経っても終わりがない。
一体どのくらいの時間が経ったのだろう。
腹も減らず、眠くもならず、疲れもせず、ただ歩き続けるだけの日々。
「しかし歩いても歩いても真っ白な世界だな…」
だけど何故か不幸とは感じず、幸福な気持ちが胸を満たすばかりだ。
不意に、記憶が思いだされた。
「辛い、しんどい、いつも怒鳴られて、終電に間に合わなくて、家に帰れなくて、机で寝ても眠れない、腰痛がひどくなって、また怒鳴られて、罵られて、昼休憩もとれない、辛い、つらい、ツライ、ああああああぁぁぁぁァァァァァっ」
そうだ
私が、僕が、俺が
俺がここにいる理由は
「可哀想ねぇ、まだ若かったのに」
「上司にいびられて会社で自殺だって」
「誰か助けてあげなかったの?」
「なんかぁ、家に帰れなくてお風呂も入ってないから臭くて誰も近寄ろうとしなかったんだってぇ」
おれは
社畜の末路




