表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からくりきるけれころし  作者: 蜂矢ミツ
6/6

帰還

 花の船で、空を行く。




 美子を、家族の元に送り届けた。


 ゆっくりと手を振る、その表情は穏やかなものだった。



 漆は、汰一を連れて、どこか新しいところへ行くらしい。


 その内、一緒にまた花を撒こうと約束して、お別れした。




 花の船を片づけて、この地の門を閉める。


 かつてはいつも開かれていたが、いまはもう、心やさしい樹はいない。


 瑠璃ひとりではとても受け入れきれないので、少し趣向を変えてみることにした。




 瑠璃の好きな人、やさしい友だちを時々招いて、遊んだり、一緒に樹や花を植えたりする、そんな場所にすることにした。


 そうして出来上がったものを、時々、船に乗ってばら撒きにいこう、なんて考えている。







 ひとりになった。


 そう思ったが、いつの間にか、客が来ていたらしい。


 森の奥のほうから、かすかに声がする。



 なぜか、なつかしいような。



 森の奥へと、歩みを進める。


 淡い光の差す、うっすら明るい道を、ゆっくりと進んだ。






 やがて、森のいちばん奥についた。


 そこには、かつての瑠璃の、墓がある。






 狼がいた。


 その金色の目から、ぽろぽろと、とめどなく涙をながしつづけている。





 なぜ、泣いているの。






 言葉をかける前に、この目からも、涙がこぼれ落ちた。


 いつまで経ってもおさまらず、しまいには、嗚咽までもれる。


 もう、涙を止めることは諦めて、そのままながしつづけた。



 不思議と、心にこびりついていた痛みがほどけて、涙とともに、剥がれ落ちていくようだった。



 やがて、いつの間にか涙がおさまり。


 目の前が、明るくなっていく。









 ああ。


 なんだ。








 あれは、わたしの大事な、大好きなお友だち。


 久しぶりに、その背中に飛びついてやろう。


 きっと驚く。

おしまい。

はやく背中に飛びつきたいものです。


ジャンル付け、一番しっくりくるのは

「意味がわかると怖い話」でしょうか。

ヒントは既に、大方は『インターネット上』に出揃っています。

よろしければ、探してみてください。


続き、というより、話は少し戻ります。

よろしければどうぞ。

Next>『瑠璃の奮闘記』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ