4.商談→到着
リア充共滅んでしまえ
知らない天井だ…馬鹿なこと考えてないで今の状況を確認しよう。自分は床の上に直で横になっていてこの場所は凄い揺れている。あと背中痛い。多分馬車だろう、仮に空飛ぶ乗り物があってもここまで揺れないだろう。近くに人は…長刀が添い寝してるみたいに横にあって刃先こっちに向いてるんですけど!怖っ!もぞもぞしていると近くにいたふくよかな男性と目が合う。狸寝入りをかますわけにも行かないので体を起こす。
「おや?起きになりましたか」
「だれ」
「これは失敬。私はコリンズ商会、東方方面商隊主任ポーラ・カルーア・サテンと言います。お気軽にポーラとでもお呼びください」
「これはご丁寧にどうも。自分は先日村から出た東雲雪彦と言います。なにぶん村を出たばかりの若輩ですがよろしく」
「こちらこそ。それにしてもそちらの槍の様な武器はすごいですな。刃はしっかりと研がれていて、柄は黒に金の模様。実戦にも使えて美術価値も高い。どちらで入手されましたか?」
「ああ、長刀のことですか。これは師匠からの餞別なので入手場所はおろか、作り方も分かりません」
師匠は嘘だけど作り方は知ってる。教えんけど。
「譲って頂くことは」
「無理です」
「5500キール…金貨5枚と銀貨5枚でも?」
「ええ」
この世界の通貨単位はキールか。枚数に言い直してくれてるし今は枚数で言っておくか。
「そちらの弓矢はどうでしょうか」
「矢を四本で金貨2枚なら」
「銀貨4枚」
「金貨2枚」
「銀貨6枚」
「それじゃあこの矢には見合わない」
「銀貨8枚これが限界です」
「じゃあ譲れないな」
「貴方も人が悪い金貨1枚が本当に限界です」
「分かりました、金貨1枚で譲りましょう」
金貨一枚あればそれなりに持つだろう。それにしても呼び出した武器を売れば金には困らなさそうだな。やり過ぎるのは良くないけど。ポーラさんに矢を渡し金を受け取る。一枚で結構重いな。
「商いの話は終わりにしましょうか。シノノメさん、貴方はこれからどうしますか?」
「とりあえずはどこかの国に行って冒険者になろうかと」
「それは良い。ここからだとジャマイカン王国のミュールが近いですね、大体1時間ぐらいでしょうか。私たちも用事があるので一緒に行きますか?」
「本当ですか。ではお願いします」
ラッキー、これで迷子にならなくてすむ。異世界に来て迷子で餓死したらしゃれにならん。
あと、この世界の金の単位をポーラさんに教えてもらった。1キールで鉄貨一枚、桁が一つ増えるたびに銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨、100万キール紙幣に上がって行く。4人家族が一ヶ月で金貨5枚あればある程度余裕を持った生活出来るレベルらしい。紙幣があるのは持ち運びをしやすくするため。そんなことを話していたら自分が異世界に来て初めての街ミュールに着いた。身分を証明するものを持ってないから50キール入街料として門番に払った。
何こいつ見たいな目で見ないでよ。たしかに某艦隊をコレクションするゲームに出て来る小ちゃい女の子の絵が書かれてるTシャツ着てる奴がいたら何こいつって思うだろうけどさぁ。とりあえずポーラさんが着てる様な無地の服買わないと。
「ポーラさん、ありがとうございました」
「いえいえこちらこそ。私は商人ギルドに3週間ほどいるので何かありましたら私を御呼びください。最後に、私の様な商人は『読心』を持ってますので商談中はお気をつけ下さい。では、また」
「え、それってどうゆうことですか?」
ポーラさんは質問には答えず手をひらひらと振って行ってしまった。ん?読心って心を読むって書く…全部筒抜けだったのかよ。あ、冒険者ギルドの場所聞くの忘れてた。