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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
加速する世界
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冒険再開

 「破魔の剣」と「夜明けの光」は、『北極星』の中でも大手のクランだ。

 この2大クランは『北極星』のある意味初期メンバーであり、ダンジョンの下層で戦う最精鋭でもある。

 メンバーの平均レベルは14とかなり高く、正直、俺とは比べ物にならないほど激戦を潜り抜けた勇士である。



「そっか、とうとう下層の最深部に挑むわけかー」

「ええ。先にダンジョンを攻略させてもらいますよ」

「ま、お前らも頑張ればすぐにここまで来れるさ。そうそう、賭けは俺にしておけ。損はさせねぇぜ」


 その2大クランのリーダー、ジョンさんとバランさんらはとうとう下層のボスと戦う事にしたらしい。

 話に聞いた限り、ダンジョン下層の適正レベルは12~15ぐらいだと思う。平均レベル14、しかもレベル10のジョブがある6人なら何とでもなる数字じゃないかと思う訳だ。


 これまでは下層でギリギリの戦いに身を投じ、レベル以上の強さを身に付けた猛者が挑むわけだ。俺は彼らが勝つだろうと確信に近い思いを抱いていた。

 むしろギルドではどちらのパーティが先にボスを撃破するのかという話になっており、その賭けの胴元である俺はどちらが勝っても美味しい状況なのだが。



 ちなみに。

 クランリーダーの二人のレベルは16である。セカンドジョブと生産ジョブの二つとも、レベル3まで上げてジョブチェンジしていたりする。当たり前のようにジョブ解放前は10レベルだったわけだな。


 ジョンさんは戦士系ジョブの最終ジョブ『武神』で、『手品師』の『武器鍛冶師』だ。『手品師』の≪瞬間装備≫で≪アイテムボックス≫内にある武器を一瞬で装備できるようになっており、≪終ノ一閃(ついのいっせん)≫という武器耐久力を全消費して大ダメージを出すスキルを連発することが可能になっている。イーリスが目指す完成形のような人だ。

 バランさんは弓兵系の最終ジョブ『無窮』で、『聖属性魔術士』の『畜産農家』だ。こちらはシンプルに遠距離系でまとめられており、≪聖属性付与≫で矢を魔法ダメージに変え、絶対命中&防御不可という弓の最終奥義的なスキル≪必至の矢≫を撃つ固定砲台のような人だ。筋肉ダルマではあるが、バランさんは推定貴族のジョンさんよりインテリなのだ。


 元からグランフィスト最強の呼び声の高かった2人だが、ジョブ解放で手が付けられないほど強くなっている。

 英雄、人外と言って差し支えないほど強いのだ。たとえボスでもこれで勝てねば詐欺である。下手すれば単独でボスを撃破しかねないように見える。





 そんな英雄たちを見送り、俺達は俺達でダンジョン中層の探索である。

 無理は、しない。

 普段と同じぐらいの所で地道に、チマチマと経験値を稼ぐつもりである。



 代り映えのしない相手に攻略法を探し求め、必要とされるアイテムを回収する。最近は魔法生物作成に使う素材が高騰しつつあるのだ。

 最近はホムンクルスやメイドサーヴァントを作っては育ててMPコストを必要としない、使い勝手のいい労働力を確保しようという流れになっている。MPコストを必要としなくなるのはセカンドジョブ3レベルが基準になるので、『北極星』では今の俺と同じレベルまで魔法生物を育てる仕事まで受注していたりする。今の俺と同じレベルまで、である。それを3ヶ月かけて促成栽培する予定が組まれている。ふざけるな、と言いたい。俺が泣くぞ?


 1年以上かけてレベル8な俺は、どこかやるせない気持ちを抱えたまま、2ヶ月でレベル2からレベル7になったイーリスらと共にダンジョンを往く。

 ダンジョンに潜った期間の短さが決定的な差なんだろうなぁ。俺の冒険は寄り道が多すぎた。



 リスクを極力抑え、たまにダンジョンから錬金術素材を回収し、ギリギリ経験値が入るレベルの戦いを狙ってみる。

 冒険者だけど、危険は冒さないように注意しながら依頼をこなす。


 そうして2週間ほどかけて。

 ようやく俺もレベル9になった。

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