ララの加入と経験値稼ぎ
経験値的に後れを取っている俺は、その遅れを取り戻すべく冒険に勤しんでいるわけだが。
「1レベル差じゃあ、決定的な追い上げができない!」
俺が経験値を稼げば、他のメンバーも経験値を稼ぐのである。
つまり、差が縮まらない。
それに、パーティのレベル総計が増えた分のペナルティは俺にも等しく降りかかる。前よりも頑張らないといけないようだ。
ついでではあるが、俺がいない間は俺の分とティナの分だけパーティのレベル総計が下がっていた訳で、他の連中はより効率よく経験値を稼げた訳だ。俺だけでなく、他の連中もより大きな苦労を強いられていたりする。
「え? 何?」
コイツを外せば経験値稼ぎしやすくなるかも。そんな目でミレニアを見てしまう。
ミレニアは俺の視線に何か感じたのか、思わず後ずさった。大丈夫だよ、ちょっとお休みをプレゼントするだけだから。……俺のレベルが追い付くまでの間、な。
「何でもないから気にしないで。ちょっとした気の迷いだよ」
「ふーん。お姉さんの色香に惑わされたなら、貢物でも用意するといいよ」
気の迷い、その言葉を変な風に誤解したミレニアが何か戯言を言っているから聞き流しておく。守銭奴に興味は無い。
しかし、こうやってパーティ全体が強化されていくと、もう少し先を目指したくなるな。
先ずは俺のレベルアップと――ララの強化が先だけど。
ララの内定からけっこう経っているので、俺が産業革命を目指している間に、ララのパーティ編入は領主からの許可が下りていた。
気になるララのジョブは『冒険家』に加える事の、『神官』『料理人』だった。
また後衛ジョブで、俺の前衛は確定事項である。俺の訓練は、ジョブに限定してとはいえ、無駄だったようだ。泣きたい。
まぁ、イーリス待望の神官だったので良しとしよう。そう思わないとやってられない。
気の早い話であるが、ララには防御特化の『払魔神官』を目指してもらおうというのがパーティの意志である。
回復するより、そもそもダメージを防ぎきった方が効率がいいというのが理由である。≪サンクチュアリ≫≪ディスペルマジック≫≪ホーリーフィールド≫といった防御魔法を覚えてもらい、生存力強化に努めてもらう。これは本人も了承済みである。
ララのレベル合計はまだ4だ。
もとがレベル2だったので、まだ3点しか稼いでいない。俺達のように16~19点には程遠いので、まずは俺達の狩り場である中層でパワーレベリングしてくれ。
イーリスだって中層でレベル上げしたんだ。ララだってやってやれるさ。
もっとも、俺達も経験値を稼ぐから簡単には追い付けないんだけどな。
今の俺みたいに!