○ンダム主人公否定論
電線を作ってみたが、絶縁素材の被服を等量巻くというのが非常に面倒だった。イメージ的には200mの棒に万遍なくテープを巻いていると思ってもらえれば間違いない。電線と言いつつ、物は銅の棒なのだ。
手を抜くと火災の原因になるので何度も確認したよ。
たくさん巻けばいいと思われるかもしれないが、その被服だってタダじゃないのだ。低コストで抑えたいからわりとギリギリの仕事をしている。
そうやって電灯をギルド内部に設置していると、領主の使者が来た。
いつものジャニスさんは仕事を任されていて動けないので、今回は別の人だ。
話の内容は、発電機のあとに勧めてみた「活版印刷」「黒色火薬」「版画」「羅針盤」「蒸気機関」「綿織物と紡績機」「石炭とコークス」「工場制手工業と工場制機械工業」「ガン○ムと一年戦争」に関するレポートを併せて提出しておいたのだが、そちらに対する質問だった。
こちらは現物無し、話のネタとして出した物だ。とある一つを除き、どれも産業革命に必要な要素である。
学生時代の記憶を引っ張り出すのは大変だったが、とにかく頑張った。
相手の弱点は、人数の少なさである。
大都市であるグランフィストの住人が総力をあげれば負けるはずはなく、地球連○と○オン公国のような戦いに持ち込めるはずなのだ。今はコ○ニー落としやザ○がセイバー○ィッシュ相手に無双している段階だが、ガン○ムが開発されて量産されれば一気に形勢逆転が可能になる。
なので、同等の技術力を持たせればいいと思い、こういった提案をしてみたのだ。
領主は俺のレポートに半信半疑であったが、コークスのレポートで鉄を精錬する際に石炭を使えない理由、硫黄分による鉄の劣化を指摘したことで多少の労力を割いてでも確認する必要がある物と認識した。
製鉄関係は国の重要技術のため、口外しない事を強く求められたので大人しく従っておく。もっとも、俺が話さなくても奴らが話せば同じ事だと思うけどな。
コークスが使えれば製鉄は木炭に依存する必要が無くなるので、これでより多くの鉄が造れると期待されたようだ。
魔法を使えばいいんじゃないかと思ったけど、「そんなに長時間、火の魔法を使い続ける事は出来ません」と呆れられた。火の精霊石とか他にもやりようはあると思うんだけど、俺のような素人が考える事はもう試しているだろうし、いちいち口に出さないでおく。
この世界、どうにも魔法で楽をする事が難しいらしい。ゲームの雰囲気をぶち壊さないようにするゲームデザイナーの呪いだろうな。
「回復魔法で無限食肉」ってのも出来ないみたいだし。
俺は某種の主人公のように第三勢力になる気はないので、素直に地○連邦――じゃなくて領主サイドに勝ってもらおうとしている。
だが、その援助をやり過ぎてアフ○=レイみたいにはなりたくない。どこかの島やらなんやらでヒロインと隠棲するシ○ー=アマダや○ラ=ヤマトにもなりたくない。海賊も嫌だし、ソラに還る気も無い。
命令違反で退役したユ○=カジマがギリギリ妥協点か? あれは幸せになった気もしないのだが。いや、ヒイ○=ユイなら大丈夫か。
ドモ○=カッシュはむしろ勘弁してください。あんなのは俺にはできないし。
……ロクな最期を迎えた主人公が居ねぇな、○ンダム。
物語としては好きだが、主人公と変わってみたい奴がいない気がするよ。いや、最後には幸せを掴んだのかもしれないけどさ。
無軌道に、無為無策に手を貸せば味方と思った奴らから何をされるか分からない。思ったよりも反響があったので、この先がちょっと怖い。
勢いで動いたけど、少し立ち止まった方がいいか?
ギルド経由で少しは対策を考えておきますかね。




