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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
加速する世界
90/320

ハズレ神官

 新メンバーを加えた最初の探索は日帰りと言う事にしている。

 連携不十分という事はもう諦めるしかないので、あまり先に進まないようにするのも大事である。前みたいな苦戦はもうやりたくないのだ。経験値が入るギリギリのラインを見極めるのが重要である。雑魚戦はほとんどの戦闘で経験値が入らないのが普通なんだけどね。


 スレイさんの安定した戦闘能力は確かに頼もしい。

 攻撃よりの戦士系、防御よりの騎士系、バランスの格闘家系。スレイさんの場合は攻撃7に防御3とかなり攻撃よりだが、高めの回避能力は単騎突撃役として不足無い戦果を叩き上げる。


 ちなみに戦士系なら「強敵相手の決戦」「大軍相手の範囲殲滅」「魔法付与の汎用」の3系統で、騎士系なら俺のような「仲間を守る楯」「攻撃を引き付ける壁」「敵の攻撃を潰す槍」の3系統となる。

 魔術師系なら属性縛りであとは覚える魔法次第、サモナー系も以下同文。パーティを組むことが前提のゲームだから何でもできるようになるなんてことはあり得ないので、あとは何を優先するかなんだけどね。





 『格闘家』のジョブチェンジ先、『破壊拳士』の凄さを体験したことでイーリスの気持ちもぐらつき始めている。

 ララがどうなるか、ララ自身が何のジョブを望んでいるかという問題も絡んでくるのではっきりとは言い切れないが、ララが格闘家などの前衛になってくれても大丈夫そうという雰囲気である。


 なので、もう一押し。

 今度は『神官』ジョブの人を探してきた。


 神官の生存率上昇は冒険者にとってもありがたい事ではあるが、神官に頼ってきたクランにとって神官抜きでダンジョンに向かうのは自殺と変わらないほど無謀な行為である。そのクランには一週間のお休みを取ってもらう事になった。

 浅い所で小銭稼ぎでもしろよと言いたいが、先に無理を言ったのはこちらなので損失補てんに少なくないお金が必要だった。

 それでも必要だと思ったからやるんだけどね。





 『神官』の人はレベル5で回復特化の『治癒神官』だった。

 他にも攻撃系の『退魔士』や防御担当の『払魔神官』、サモナー的に天使を召喚可能な『聖者』があるんだけどね。やっぱりヒーラーとしての需要が高いようである。

 頭の中に、前にパーティを組んだ攻撃特化の神官が思い浮かんだが、それは忘れておく。



 女性だったのでイーリスも安心していたのだが、この人はあまり有能な冒険者ではなかった。


 これは俺もハズレを引いたと思ったのだが、とにかく守ってもらう事に慣れ過ぎていたのだ。ある程度自分で動かないと駄目だろうと思う時まで人任せ。昼飯などの準備でもあまり動かないし、ネトゲの姫プレイをリアルにやられた気がする。

 それでも頭を下げてきてもらった人なのだし、出来るだけ丁寧に対応し、その代わり1週間と言わず2回のダンジョン探索で切り上げた。



「すまん。あの人は神官としてもハズレだ。参考にならん」

「いえ、そこは運としか言いようがありませんから……」


 俺は『格闘家』と『神官』がパーティにいるとき、どれぐらい効率が変わるか体験してもらうつもりであの人を用意したのだが。

 さすがに普通の冒険者と姫プレイの寄生蟲を一緒に比べさせるほど性格が悪くないつもりだ。この比較については後日、別の神官を用意して対応したいと思う。


 今回は本気で大損であった。



 ただ、『神官』はレアである。『北極星』の冒険者1000人以上の中でも30人ぐらいしかいない、貴重なジョブだ。いくつかのクランと交渉してみたが、首を縦に振るクランはいなかった。

 そして神官探しに疲れた俺は妥協案を考える。


 衛兵の方から人を借りれないか、相談してみよう。

 そんなわけで、俺は久しぶりに衛兵の詰所、アゾールさんのところに顔を出すことにしたのだった。

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