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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
加速する世界
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新メンバーの条件②

 新メンバーのジョブについては、意見が真っ二つに割れた。


 まず、全員が『冒険家』を仲間にしたいと考えている。

 斥候系のスキルが欲しいので、これはごく当たり前の共通認識だ。



 そして、意見が分かれたのはもう一つのジョブだ。

 俺と桜花は前衛系のジョブとして『格闘家』か『騎士』がいいと考えた。


 俺は前衛・後衛どちらでもいいタイプ、桜花とミレニアが後衛専門、イーリスが前衛専門となる。

 こうなると前衛・後衛のバランスを考え、前衛職を入れる事で安定感が増すというのが俺達の考えだ。


 ミレニアとイーリスは、それよりも『神官』の確保が先だと主張する。

 生存能力を増すためには回復役が重要で、神官こそ求めるべきジョブであると言って退こうとしない。

 正直、冒険に必要なコストと言うか『治癒の薬』代をケチろうとしているように感じるのは俺の気のせいだろうか?


 まぁ、互いに一緒に組んだ人との冒険を思い返して出した結論なので、一概に否定して良い意見ではないはずだ。





「だから! これ以上後衛を増やすのは致命的なんだって!

 俺が前衛で固定化されるし、カバーしきれるわけもないだろ! 前2後3とか、無茶を言うなよ!」

「もう一人、入れればいいじゃないですか! 6人がパーティの基本単位なんですよ!」

「サモナー系2人で6人パーティとか、過剰戦力過ぎるんだよ! 5人でトントンだって!」

「生存能力では神官がベストとなんで分かってくれないんですか!」

「ミレニアのフェアリーで十分だろうが! これ以上回復役を増やしても戦闘時間が間延びするだけだ!」


「回復する前に、攻撃を受けないように敵を殲滅できる攻撃力を持つべきではないでしょうか? 結果として消耗が少なくなるはずです。神官では、戦闘時間があまり変わらないのではないでしょうか?」

「神官の聖属性魔法は回復だけではなく防御にも使えますよ。どうしても防ぎきれない相手の攻撃をどうにかしようと思えば、≪ディスペルマジック≫とか≪サンクチュアリ≫の魔法が使える方が大事です」

「そうか? 冒険家の≪アイテムピッチ≫で対応できるだろ」

「それだと消耗が激しすぎます! アイテムはタダじゃないんですよ! もっと財政負担を減らす努力をしてください!」

「いや、命がかかっている戦闘に金の心配なんてするべきじゃないだろ。無計画に使うのは駄目だけど、計画的に、必要な額を投資するのが健全じゃないか?」



 イーリスやミレニアも俺達に慣れてきたおかげで、遠慮なく俺と対立する意見を出してくれる。

 喧嘩腰で話をしているように見えても、それは親しいからできる態度って事だ。喧嘩するほど仲が良い、だな。

 喧嘩別れなどする予定は無い。


 リスク管理の視点で言えば、ミレニアたちの意見の方が理に適っているのは確かだ。

 だが、パーティの戦術を考えると、前衛を多く揃えるのがセオリーなのも間違っていない。

 そこはもう、優先順位の差だと思う。



 お互い自分の中で考える「厳しい戦場」が違うため、求める理想に差が出るのは当然だ。


 俺の場合、回復がアイテムだけで賄えると思っているから神官よりも前衛を欲しがる。と言うか、ミレニアのフェアリーが聖属性魔法を使えるのでそれでいいと思っている。

 ミレニアたちの場合は高火力の敵と相対した時を考え、フェアリーが常時存在するパーティメンバーとは違う事を気にして、安定した回復・防御を求めている。


 欠点を減らして長所を伸ばすにはどうすればいいのか、その答えは見つからない。

 正解が無いので意見をぶつけ合っても結論に辿り着けない。



 現実を見た場合、ただでさえ少ない『神官』の確保の難しさを考えると俺の意見の方が通りやすい。

 なので、「先に条件に合った奴を入れた方が勝ち」という勝負も出来ない。


 いや、そもそも期待した通りのジョブを持った奴が仲間になってくれるかどうかも分からないのだが。

 俺たちの議論は、それでも続く。

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