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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
召喚術師の始まり
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採取・リザルト

 TRPGのシステムはいくつもあるが、『七鍵世界TRPG』では楽な戦闘で経験値稼ぎができない仕様になっている。

 プレイヤー側のレベル合計と敵のレベル合計を比較し、プラス1にならないと経験値が貰えない。

 俺の合計レベルは最低値の3だけど、召喚士の場合は召喚モンスターのレベルもそこに加算されるために、合計6相当とカウントされるのだ。せめてスライムが2回レベルアップしていないといけないのだ、それでは成長できないのもしょうがない。


 乱数でレベルアップしたスライムの相手を、などと言いたくはない。

 スライムは確かに雑魚だが、レベルの上昇で火への脆弱性を克服することがあるし、体を大きくしてHPを伸ばし死ににくくなることもあるからだ。戦闘のリスクは飛躍的に高まる。それぐらいなら最弱スライム2体を相手にする方がまだ勝機はある。


 そんな事を考えながら進むが、やはりモンスターは出てこない。

 結局新しい松明が燃え尽きる1時間の間は臨時収入を含め何も無かった。



 それならと、新しい松明に火をつけ更に先に進む。

 そうやって先に進むと、途中で景色が入れ替わった。エリアチェンジをしたらしい。ゲーム時代はエリア一つごとに移動・戦闘・探索・休憩を合計1時間でやっていたけど。今は無理だな。


 新しいエリアは洞窟タイプだ。要は岩肌がむき出しの通路である。

 この種類の地形からは鉱石類が手に入るのだが、そのために要求されるスキルは≪採掘≫である。≪採取≫でもできなくはないがマイナス補正が入るし、手持ちの道具にピッケルは無い。臨時収入は諦めるしかないな。


 それでも土がむき出しなら何か採取できないかとかすかな希望に賭けつつ歩を進める。


「お。『ヒカリダケ』だ」


 そうやってダンジョンを歩いていると、ヒカリダケを見つけた。

 ヒカリダケはヤコウタケ、ツキヨタケとも言われる実在するキノコの一種だが、こちらの世界では錬金素材の一つとして扱われる。

 残念ながら治癒薬などの材料に使えないけど、そこそこの値段で売れる事になっている。有難く全て採取し、潰れないように保護してからバックパックに入れた木箱に放り込む。


 実際に採取する時に≪採取≫スキルがやり方をガイドしてくれる感覚があり、もしそれが無かったらせっかくの素材を駄目にするところだったことに冷や汗をかく場面もあった。

 薬草採取以来とかはファンタジー世界の冒険者ギルドで定番だと思うけど、≪採取≫スキルなしでできるのはやっぱりゲームだから、ゲームを参考にしているからなんだろうな。


 ……この世界もゲームを参考にしているように見えるけど、スキルの有無が決定的な違いを生むのってこういった理由なのかね?

 ああいったゲームでもスキルがあると多く入手できるようになるし。

 きっとスキルなしだと採取できる数が少ないのは採取に失敗して駄目にしているからに違いない。



 その後のイベントは特に何も無く、戦闘も無く帰ることになった。





「あー。こりゃあ買い取れねぇよ、坊主」


 ただ、せっかく採取したヒカリダケは全く売れなかった。


「ウチでは取り扱ってねぇし、今は売れねぇ。確かに『発光ステッキ』の材料にはなるけど、最近は注文もねぇし在庫も多い」


 売り物になる筈のアイテムだったが、まさかの買い取り拒否。

 需要が無いというのがその一番の理由だ。


「値段を考えると松明の方がまだマシって言われてんのさ。発光ステッキも消耗品だしなぁ。厄介な迷宮に挑む奴も最近は少ねぇ」


 発光ステッキの一番の使い方は迷宮での道しるべである。

 地下迷宮と言われてはいるけど、浅い部分ならダンジョンの構造はそこまで複雑ではない。俺もやっているけど分かれ道だけで作る簡易マッピングだけでも迷う事は無い。

 初心者なら今は節約の時期というのもあるから、日本人冒険者にも売れないだろうさ。


 まさか、ゲーム時代は無限買取してくれたお店に裏切られるとは。


「こっちの『スライムの核』は買わせてもらうよ。一個だから15Gだな」


 完全に赤字ではあるが、無収入だけは免れた様である。

 が、俺の心は今後を思うと暗くなるのであった。

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