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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
竜召喚士と人造魔術師
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人造魔術師①

 レベル2『戦士』のイーリスとレベル7『剣匠』のサイファさん(男・28歳)。

 彼らをレベル7のゴラオンと狼、キュロスと入れ替えると一気にパーティ合計レベルが下がる。


 その結果、戦闘は厳しくなるだろうが、俺たちにも経験値が入るようになる。

 イーリスには悪いが、上層の方はさくっと終わらせて中層に向かった。



「3人は援護を!」

「サイファさん! 1人では無理だ!!」

「任せておけと言っている!!」


 そして運の悪い事に普段より多めの敵と相対することになる。


 敵の数は12体。


 ストーンゴーレムが3、ホムンクルスが6、ゴブリンが3。

 それぞれ前衛、後衛、遊撃と役割分担して襲い掛かってきた。


 これまでは嗅覚に優れる狼や『冒険家』のキュロスが索敵担当だったのでよかったのだが、その警戒網が無くなった途端にこれである。

 ミレニアのフェアリーは索敵担当として育てられているが、索敵の本職には敵わない。もっと本格的に対策を講じる必要がありそうだ。



 ストーンゴーレムの攻撃をかいくぐり、サイファさんが剣でストーンゴーレムの腕を切り落とした。『剣匠』のスキル、≪斬鉄剣≫の物理防御無視効果である。

 そのまま足や胴体に一撃加えられればいいのだが、ゴーレムの腕は2本ある。もう一本の腕で殴り掛かられ、サイファさんは大きく後退する羽目になった。体長3mと身長180㎝。体の大きさの差はそのまま戦力差につながる。


 サイファさんはレベル7とジョブチェンジ2回を済ませた高レベル冒険者なのだが、それでもストーンゴーレム3体の相手は難しい。



「≪ファイヤーボール≫」

「≪ウィンドボム≫!」


 桜花が、ミレニアのフェアリーが続けて魔法を使う。少しでも相手を削らないと不味いという事で、全力攻撃である。

 だが、相手の後衛戦力の方が優秀だ。


「≪サンドカーテン≫」

「≪ディスペルマジック≫」

「≪カウンターアロー≫」


 こちらの魔法を防がれただけでなく、反撃まで飛んできた。

 やはり数の差は如何ともしがたい。


「≪カバーリング≫!」


 桜花やフェアリーはHPが低い。魔法に対する抵抗力は俺よりも高いが、それでも下手に攻撃魔法を喰らえば一撃で落ちる(・・・)危険がある。手数の差が絶対的な戦力差につながる。

 俺は防戦一方になる中、どんどん減っていくMPに苦い顔をした。


「キュオォォ!!」


 マリー(ドラゴンパピー)がレベル3で新しく獲得したスキル、≪竜の咆哮≫でゴブリンの一団を牽制しつつ、その数を減らしている。

 1対3のため、余裕は全くない。少しでも手を抜けばその時点でやられるだろう。

 召喚モンスターであるマリーの制限時間は12分。それまでにゴブリンぐらいは壊滅させてもらわないと本当に不味い。



「あの、『治癒の薬』です」

「助かる!」


 そしてある意味戦力外のイーリスは回復担当である。

 ≪カバーリング≫で桜花の代わりにダメージを喰らった俺に『治癒の薬』を使う。


 まだ低レベルなので前に出れるわけも無く、後衛に回されている。

 だがその役割は小さくなく、かなり重要な役を任されているわけだ。と言うか、ここで回復役が一人もいないと本気で詰む。

 彼女にしてみればいきなりの死地であったが、是非とも頑張ってもらいたい。



「これでっ!」


 サイファさんの剣閃が走る。

 振るわれた刃がゴーレムの両足を斬り裂き、その動きを止めた。

 ゴーレムをはじめとした一部の魔法生物は回復魔法によるHP回復や損傷修復が出来ない。足さえなくなれば脅威ではなくなる。まずは1体だ。



 ゴブリンの一団を見ればマリーが順調に数を削っている。

 戦場全体を見れば徐々にこちらへと天秤が傾いて行くのだが、それでもまだ油断はできない。


 俺たちは生きるか死ぬかの狭間でギリギリの戦いをしていた。

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