表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
冒険者ギルド
55/320

復讐者の加入

 グランフィストを取り巻く情勢は不穏であるものの、俺は自分の生活を守るために頑張るだけだ。

 そんな訳で休養を取り、またダンジョンへ挑めるように体調を整えたり装備を補修したりする必要がある。あと、たとえ僅かでも手に入った物を売却して売却して利益を上げたり。



 体調を整えるのは自分の判断によるところが大きいが、その他はメイドさんなキュリィさんのお仕事だ。彼女に武具屋との交渉全般を任せている。


 使う武具屋は最初に武器を購入した店だ。あれからずっと同じ店を使っている。

 武器の手入れは俺には難しく、完璧に出来るわけもない。だから壊してしまった武器の修理などをダンジョンから帰るたび、毎回お願いしている。 

 そこそこ長い付き合いだし常連だと言いたいが、それでもコネには登録されないので、やっぱり普通に話をして仲良くなる事が大事なようだ。なお、この場合の「普通に話を」とは仕事上のやり取りではなく、プライベートな会話を指す。仕事の会話であればその他大勢ともするからね。


 だから武具屋に俺も付いて行ってみたわけだが。


「なぁ、ちょっと頼みたいことがあるんだが、いいか?」


 武具屋の親父さんにいきなり頼みごとをされた。


「あんた、最近ギルドを作ったばかりなんだよな。だったらさ、うちの娘の面倒を見てくれないか? 他のギルドにもいくつか声をかけてみたんだが、どうにもいい返事をもらえなくてな。

 なに、ずっと面倒を見ろって話じゃなくて、しばらく、一月か二月の間でいいから構ってやってほしいんだ。適性が無いと思えば追い出しても構わないし、見込みがありそうなら目をかけてやって欲しい。

 どうだ、頼めないか?」

「んー、会ってみない事には何とも言えないです。でも、人手が増えるのは単純に助かりますし、そうとう変な人じゃない限りは大丈夫ですよ」


 細かいことを言えば領主側の意向に配慮し、あまり気軽に人を入れない方がいい。

 だけど、他所のギルドや領主側の派閥とは違う人を入れた方が『北極星』の独自性を維持しやすい。……新人を外部から取り込まれなければ、だが。


 あとは娘さんがどこまで信用できる人かって話になるけど、信頼関係なんて自分で作る物だ。「最初から信用できる人を」なんて甘い事を考えず、これから自分で信用できるように動くべきだろう。

 まぁ、たとえ親父さんのコネが欲しかろうと話の通じない人なら切り捨てるけど。



 そんなこんなで新しいメンバー、イーリス(15歳)を加入させたわけだけど、しばらくの間はジョブ解放無し。一ヶ月は様子見って事で訓練を課すことにした。

 ちなみに冒険者を志した理由が、ちょっと面倒な感じであったが。


「冒険者の方が始終実戦に関われると思ったから希望したの。早く強くなって、みんなの仇を取りたいのよ」


 この娘さん、盗賊に襲われた隊商の関係者だったようです。

 

「復讐、ねぇ」

「復讐は駄目?」

「いや、間に合わないだろうと思っているだけだよ。領主様がサクッと片づけるだろうし」

「……そう、よね。そうなるわよね。でもね、何もしないではいられないのよ。

 もしかしたら領主様がてこずって、私の番が来るかもしれない。もしかしたら、私が先に仇に出会えるかもしれない。

 その時のために、出来る事をしたいの」


 復讐を咎める気はないけど、無駄足になるって事だけは指摘しておいた。

 彼女も分かっているようで、それでも戦闘技術を磨き、何かできる強さを得ておきたいようだ。

 で、親父さんは無駄足になる事を前提に冒険者ギルドに入れたかったと。



 細かい事情は知らない。それは彼女だけのものだ。俺が関わる事でもない。

 俺は戦う力を与えるだけである。


 武具屋の娘だけに『戦士』ジョブ持ちなので、まずは武器の扱いだけでも覚えてもらいますかねー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ