ゲーマーのお約束
俺が将来目指すスタイルは、ズバリ『竜騎士』である。
ティナの背に跨り大空を翔る竜騎士は、男の子にとってあこがれの存在だろう。その為の召喚士、そのための騎士である。
細かい話をするなら、複数のドラゴンを従えつて指揮官として上空から戦場を俯瞰して指示を出すのが理想だ。
騎士のジョブは楯系で成長すれば離れた味方の防御もできるし、ティナが風魔法のスペシャリストとして成長すれば後方でも大丈夫だ。
ゲームデータは頭に入っているし、将来設計ぐらいしていますって。
あとは実戦で必要なスキルとかの調整をしないといけないだけど。
そんな俺の説得の甲斐もあり、ガナードさんは一応は納得してくれた。
「実戦で失敗が前提って、下手すれば死んでいたぞ?」
「そうならない為のガナードさんでしょう?」
俺の無謀な行動については、追加でお説教でした。
いや、こんな機会でもないと試せないでしょう? やれる時にやれることをすべきですって。
成長の方は『錬金術師』を2レベルにしたよ。あとはMPを伸ばしてスキルの底上げをした。桜花やティナも似たような、得意を伸ばす成長をさせていた。
出向組の3人は生産ジョブを解放し、セカンドジョブを2レベルにしていた。急激な成長に意識が付いていくかは今後の努力次第かな? 本当なら、今日も新スキルの習熟訓練だったはずなのにね。
ガナードさんは1点だから生産ジョブの開放だけだったけど、それでも『鍛冶師』の≪応急修理≫で装備の簡単な補修ぐらいは出来るようになっていた。もっと先に取るべきスキルがあったと思うんだけど。まぁ、いいか。
みんなで相談したが、ここで一晩休み、もう一度だけゴブリン相手に連戦をする事にした。
成長したので前回よりは楽に戦えるだろうし、装備もある程度直したし、ゴブリンの装備もある。予備の準備は万全だ。
食糧や水だって一泊ぐらいなら十分に足りる。2泊は無理だけど。
戦っただけで最低ラインの収入を確保したので赤字の心配もない。……黒字にもならないけどさ。
何より、無限湧きのゴブリンという美味しい経験値稼ぎネタなんてゲームに無いボーナスステージを、見逃したくなかったのだ。
これはパーティの総意である。
地下通路だけに明かりが無く時間の感覚もあやふやになるが、松明で時間を計り、見張りを交替しながらとはいえ6時間の睡眠時間を確保しての再戦と相成った。
さぁ、ゴブリンどもよ。経験値を寄越せ!