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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
ギルド『北極星』
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ギルド開設② ギルド名

本日2話更新です。


1/2

 ギルド開設を決めた俺たちだったが、いきなりハードな問題が立ちふさがった。


「ギルドの名前……。何も思い浮かばない……」

「長期間使う名前になると、変な名前は付けれませんからね」


 ギルド名が思い浮かばなかったのだ。

 ギルドを立ち上げること自体は噂話として流してもらえるが、肝心のギルドの名前が決まらなければ噂も何も無いのである。


「ギルドの方向性は、新人脱却と稼ぎの増加を目指すって話だからな」

「あはは。新人用のギルド、では格好が付きませんよね」

「稼ぎを増やしたいって言っても、拝金主義に走る気も無いし。生きる為に必死になっていこうってのも、何か違う」


 そして俺たちがギルドを立ち上げる理由は仲間探しに自身の成長と収入拡大、円満退職の為の布石と、かなり曖昧な方向性から始まった。

 どれもギルド名にするほどの在り方ではないのだ。



「仕方がない。運命に問うとしよう」


 考えても駄目な時は、考えずに決めるのが一番だ。

 強い目的を掲げない以上、どこか中二的な名前でもいいと開き直ってしまうのも、アリではないか。


 そう考えた俺は、22枚のカードに0から21までのナンバーを割り振る。あとはカードをシャッフルして、目を閉じ一枚を抜き取った。

 カードには、「10」の数字が書いてあった。


「『隠者』を引いたか」

「マスター、何をやっているのですか?」

「タロットカード占いさ。まぁ、超テキトーだけど」


 俺がやったのは数字をタロットのナンバーに見立てて、ギルド名の方向性を決めることだ。


 タロットの並びはゲームでも散々使われてきたネタなのですべて覚えていた。流石に意味まで覚えているかと聞かれると完璧と言い難いが、絵柄と数字程度なら何とかなるのである。



 今回引いたのは10、『隠者』のタロットだ。フード付きローブを着て杖をついた老人がランタンを手にした図柄で描かれる。

 助言者とかそんな意味合いのカードであり、某漫画では主人公の祖父の象徴でもあった。中二ネタとしては美味しいタロットと言っていい。


「じゃ、隠者をネタに何か考えてみようか」


 俺は桜花に「隠者」の説明をすると、それをネタにギルド名を考える。


 『愚者』に対する助言者という立ち位置の『隠者』は、新人から一人前を目指す俺たちにとって指標となる。とても状況にマッチしたカードを引いた。

 しかしながら、隠者という単語をそのまま使うのは避けたい。俺たちはまだ引退するわけではないのだし。俺たちは隠者に導かれる側なのだ。


「マスター。では、ランタンをギルド名に入れるというのはどうでしょうか?」

「ああ、導く光(ランタン)を求めるようなイメージか」


 そこでふと、思いついた。

 北極星、旅人の星。

 旅する者を導く光として、もっとも有名な星。

 世界を渡る愚者を導くカンテラの比喩としては、いい名前じゃないだろうか?


 アゾールさんや他の衛兵さんたちにも聞いてみたが、北極星の名前はこちらの世界でも普通に使われていた。自転する惑星の上にいるのなら大丈夫と言う考えでいたが、もしここが南半球で合ったら『南極星』と言われるだろうから内心ではびくびくしていたが、そんな事は無かった。

 北極星の扱われ方が地球と大差ない事に安堵すると、他に似た様な名前が無い事を確認し、ギルド名として採用する。



 初心者の為のギルド、『北極星』。


 現在、メンバーは俺と桜花の二人だけ。

 それでもこれが最初の一歩を踏み出した瞬間だった。

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