表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
人形王の魔手
284/320

流行病の鎮静化

 病気が流行っていたが、徐々に影響が小さくなっている。

 もうしばらく経てば、一月もしないうちにグランフィストは復活する。



 領主の広報により、グランフィストの雰囲気がずいぶん明るくなった。

 これまではいつ発病するかと怯えている人が多かったし、すでに発病した人の看病などでどこか疲れて落ち込んだ雰囲気だったのだが、このままいけばそんな心配をしなくてもよくなると活気が戻ってきた。


 もともと良い方向に向かっているという実感があってもまた何か悪い事が起きるのかもといった空気だったのだが、それが領主の言葉で払拭され、ようやく終わったと思えるようになったのだ。



 だからこそ。

 もしも“敵”が動くとしたらこのタイミングだったのだろう。


 絶望の暗闇の中、ようやく見えた希望に手を伸ばし、その希望が幻だと知ったら。そこで完全に心が折れるだろうから。


 だから、相川と老人が尻尾を出してしまったのもしょうがないと言えた。



 もしもあの二人のどちらかが≪アイテムボックス≫相応の品を持っていれば話は違ったのだろうが、ありがたい事にそのような事は無かった。

 井戸に何かを入れて、病気を広めようとしている現場を押さえることに成功したのである。


 相手にバレないほど高レベルな監視から衛兵に連絡が行き、すぐさま二人を取り押さえることに成功する。

 こう言ったシチュエーションでは俺の出番があるのが物語などでは普通なのかもしれないが、残念ながら俺の所属は民間企業相当の冒険者ギルド。よってレベルや立場を考えれば重要人物と言っても過言でなかろうが、結局のところは一般人にカテゴライズされる俺の出番は無かったのである。

 治安維持を仕事とする公的機関、衛兵(おまわり)さんの手によって、グランフィストの治安は守られたのである。


 まぁ、普通に考えたら殺人事件で探偵(素人)が証人以外で事件解決に関わるとかありえないからね。それはお巡りさん(警察)の仕事であり、一般人を関わらせるとかありえない。そもそも現場検証その他のやり方すら雑なTVドラマの警察の仕事風景などなにも参考にならないし。

 フィクションはフィクション、現実とは違うのである。


 同じなのは、警察官だって仕事人としてのプライドを持っているという事ぐらいだろう。

 アゾールさんは事件を解決したことを誇り、それまで2回にわたる流行病という失態を悔やんでいるようであった。





 相川と老人は、早い段階で処理された。細かい話は聞いてないけど、たぶん殺されてる。もしくはダルマ。


 首を晒すなどしないのは、蘇生を防ぐ為だろう。死んだことを知らなければ蘇生される事も無い。あとは流行病がテロでなくただの自然災害とすることで領主の問題対応能力に疑問を持たれることを防ぎたかったのかね。

 まぁ、表に出てこないだけで殺してはいると思うけど。



 相川のジョブが何かは『戦士』『騎士』系統だったという以外がパッと思い出せないが、前線系のジョブでも高レベルだと両手両足を失った後だろうが怖いからな。流石に腰から下を切り離せば死ぬし。

 魔法系のジョブなら言うに及ばず。両目を抉って舌を切り取り、喉を潰したとしても安心できない。老人のジョブは不明なので、誰も油断しないだろう。


 やっぱりダルマは無いな。

 蘇生されるリスクがあるけど、殺しておく方が無難だ。





 そうそう。

 相川とヤマト村の関係についてだけど、今回は無関係という事で話がまとまった。

 さすがに≪死者蘇生≫を使える連中には監視が付くけど、基本的にはお咎めなしである。


 理由としては、相川がヤマト村から長期間離れていたこと。グランフィストに戻って来てからも相川らがヤマト村に戻らなかったこと。

 なにより、ヤマト村の処分などと言う話になった時の被害が大きすぎる。高レベル冒険者を多く抱えるヤマト村と敵対するのは得策ではないし、最近は東方交易もやっているのでその利益が惜しい。

 ほぼ存在しないリターンに対しリスクとデメリットが際立つのである。





 こうして流行病の騒動はグランフィスト全体で一つの区切りを終えて。

 俺たちは普通の生活に戻れるようになったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ