病魔退散
個々の連携確認に全体の連携確認。
慣れてくれば考える事も無く呼吸を合わせる事が出来るけど、それまでは考えながら動かないといけない。
ついでに、元のパーティとバラン達とのパーティでは色々とズレてしまうため、感覚が一々狂う。
成長している実感はあるけど、5層での戦闘訓練は思ったよりも厳しい状況であった。
そんな中、グランフィストの状況は少しずつ改善されつつある。
病気用ポーションが足りずに寝込む人の数が、徐々に減っているのだ。
まずレベル上げの効果があったという事で、病気が発症する人が減った。
そして病気に対する対策が、病気用ポーションに頼らない看病の仕方に習熟してきて、春病から完治までの期間が減っているからだ。
併発症の流行病は命の危険があるものの、人の対応能力や適応力がそれを上回りつつある。
つまり俺たちの頑張りの結果であり、周囲の人間の努力のあらわれであった。
人間は、病魔に負けていられない。
ポーションもレベルも無いような中世ヨーロッパでさえ黒死病などの流行で全滅しなかったのだ。
あっちよりも環境の良い、このグランフィストが病魔に負けるはずなど無かった。
そんなわけで、一つの仕事に区切りがついたと、レベル上げ補助の仕事が終了となった。
まだまだレベル上げをしていない人は大勢いるけど、そちらは放置で。
正しくは「自力でレベル上げをするなら止めない」だけど、一般人が何の補助も無しにジョブ解放もせずにとなると、まず無理だろ。
レベルによる格差社会が生まれてしまったが、そこはもう諦めるしかない。
領主が頑張ればいいだけであり、俺たちは仕事が回ってきたらそれをこなすだけ。協力はするけど、主導すべきは俺たちではない。そういう事だ。
それよりも、だ。
「仕事の終わりを祝して! 宴会だ! 飲むぞ!!」
「「「おぉーーっ!!」」」
ようやくデスマーチが終わったので、区切りをつける方が大事である。
休みを取れるようになったので、英気を養うべく宴会が必要なのだ。
簡単なもので手早く済ませていた飯。
こんな時こそ金を惜しまず、高級食材を使いつつ、『料理人』ジョブ持ちに調理をお願いして、ぱーっと派手に騒ぐ。
お米で作ったジュースも透明な物を用意し、一升瓶を開けてしまう勢いで飲む。
ここで騒がず、いつ騒ぐ。
だって、もうすぐ終わりが近づいているんだからな
病気をどうにかしたんだ。
病気を仕掛けた奴らがいたのなら、この状況を忌々しく思って絶対に動くだろう?
動かないなら、それでもいい。
ただ、俺は「敵」が動く方に賭けただけである。