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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
人形王の魔手
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戦力外通知

 細かい混乱はあるものの、一般人のレベル上げはジョブ解放すればだけど、レベル5までなら特に問題なく上がっていく。


 細かい混乱とは、やっぱり戦い慣れていない人が戦闘に参加すると、パニックを起こしたりする事だ。まともに戦闘に参加してくれないと経験値にならないからね。安全マージンを確保している事を理解してもらい、戦っていると分っていても駄目なものは駄目なんだよね。戦うのは怖い事なんだ。


 だけどそれがレベル上げの壁になり、うるさく言わない人になってくれる要因となるので、個人的には歓迎している。

 臆病な人にデメリットはあるものの、もっと大きなデメリットの前にはかわいい物だと思えてしまうから不思議だ。

 「不幸の物差しは長い方がいい、小さな不幸が気にならなくなるから」だっけ。まさにその通りなんだよね。





 そうやってダンジョンまわりが賑やかになった分、俺達の5層攻略は遅れている。


 もともと5層攻略は「そこにダンジョンがあるからだ」的なノリで言っている面もあるので、後回しにされてしまうのだ。

 代々ダンジョン攻略を夢見てきたバランたちのようなクランにしてみれば一族の悲願と言ってもいいんだけどね。それでもグランフィストの安定を優先させてしまう。

 本人たちも特に文句を言う訳では無いので、分かってくれているとは思うけど。


 最低限の戦闘訓練はしたいと言う事で、俺達と一緒に浅い所を探索して、1戦しては帰るという事を繰り返している。


 連携の確認だけでなくレベル上げにもなるので、チームとしての戦闘能力は伸びているから全体としてはまだ問題が無いのだと思う。



 しかし、運命というか才能というか。

 現実は残酷である。


「シャンドラ……」

「そんな顔しないで。イルが残れただけでも喜ばなきゃ」


 うちのパーティからも脱落者が出た。


 『弓兵』『冒険者』系統のシャンドラが、戦力外通知を受けた。

 似たようなジョブ構成がチーム最強のバランだったことが悪い方に働き、2軍行きとなってしまったのだ。


 バランたちのチームも、こうやって戦力外通知を出してきた経緯がある。俺達だけが特別扱いされる道理はない。

 ただ、それでも1年以上一緒にやってきた仲間が離れていくことは、哀しい。


 それにもしも5層攻略が終わって、またパーティを組み直したとして。

 また同じように仲間としてやっていけるかどうか不安と言う事もある。バランに慣れてしまった俺達が、シャンドラに満足できなくなるという可能性があるのだ。

 命のかかった戦場で、それは致命的だろう。



 俺はイルと抱き合うシャンドラを見て、この先の事に不安を感じていた。

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