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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
人形王の魔手
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レベルアップ症候群

 手洗いやうがいだが、俺の周りの連中はわりとしっかりやっている。

 と言うのも、単純な話だがその方が気分が良いからである。


 喉がイガイガしているならうがいをしてすっきりした方がいいし、汚れた手を水で洗えれば見た目も良い。特に手がべたべたするとか、そのままにすると気持ち悪いからな。武器を握るときの握りの強さにも関わってくるし、コンディションはベストに近く保つことが基本なのだ。

 特にイルは綺麗好きで、俺よりも厳しく衛生管理をやっている。風呂だって大好きだ。


 やっぱり、身近な誰かがやっているっていうのは大きいのかな?

 今はまだ啓蒙活動の段階なんだろう。





 そうやって病気対策をしていた俺達だが、先日、嫌な方向に話が動いている事を知った。

 病気対策の一環としてレベル上げによるスキル獲得や基礎ステータス向上を推進していたのだが、そちらで揉め事が発生したのだ。


 曰く、「もっとレベル上げに付き合え」と言う事である。



 もともと、ダンジョンの出入りは自由である。

 しかし一般市民にしてみれば命のやり取りなどする気にもならず、兵士や冒険者など戦闘を職とする者が入るだけであった。


 それがブートキャンプでレベル上げを行った結果、レベルアップの恩恵の大きさを実感してしまった(・・・・・・)


 そして思う訳だ。

 もっとレベルを上げたい、と。



 レベルを上げた事でVITやHPが高くなり、疲れにくくなった。

 また、こちらの指示に従わずそれ以外の能力値を上げた奴もそれなりにいて、自分が普段やっている仕事の効率が格段に上昇したという報告が上がっているのだ。


 そうやって恩恵を受ける奴が出てくれば他の連中も「俺も俺も」と言いだすわけだ。

 それだけなら俺達が何か言う事でもないんだけど、そいつらは決まってこう付け加えるのだ。


「冒険者共、手伝え」


と上から目線で。



 俺達冒険者がダンジョンに潜るのは、基本的には素材集めという仕事のためである。遊びではない。

 だというのに、まともに戦えもしない連中のレベル上げの為に手を貸せと。バカバカしくて相手にしていられない。


 「金なら払う」というのはまだマシな方で、「無償で手伝え」という奴の方が圧倒的に多い。

 こっちも生活があるのだ。仕事以外で命を賭ける道理はない。

 それなのに存在しない権利を振りかざして馬鹿どもは命令するのだ。「ダンジョンに潜るのがお前らの役割なら、俺達の護衛ぐらいついでにやれよ。俺達が死んだらお前らの責任だからな」と。



 ここまで阿呆なことを言われたなら従うはずもなく、今は流行病対策が優先なのでまだレベル上げをしていない人から順に手を貸すのが道理である。

 こちらは領主肝いりの仕事だから少ないけど報酬が出るし、みんな表面上は納得している。

 底上げの方が大事なのだ。



 だから馬鹿の相手をする理由は無いと俺は言いきり、身内であっても今は後回しにするようにと厳命しているけど。

 中には手を貸しちゃう奴もいるんだろうな。


 お人好しとか人間相手だと気の弱い奴とか。

 人間、色々といるからね。

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