表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
ダンジョン5層攻略
269/320

幕間:領主サイド

 「どういう事だ!!」


 グランフィスト領主の住む館。そこに怒号が響き渡った。

 声を荒げるのはこの街の領主その人だ。事件を報告に来たジャニスに対し、怒りといら立ちを隠さず鋭い視線を向ける。


 対する報告者、ジャニスは息も絶え絶えである。

 彼は普段身を置き慣れぬ戦場、そこで命の危機にさらされたのだから。

 もしもあの場に幼馴染にして盟友たるジョンがいなかったら。彼もまた、無残に屍を晒していただろう。



 事の起こりは1時間ほど前。

 領主の後継者であるテミスの集合に応じ、今後を協議していた時の事だった。


 いつものメンバー、いつもの話し合い。

 だから、そのままいつものように話し合いは順調に終わるはずだった。


 しかし、そこに二人の乱入者が現れる。

 彼らはヤマト村の住人であり、話し合いに参加する者と顔見知りであった。

 だからテミスの協力者は何の疑問も抱かず近付き、そのまま切り殺された(・・・・・・)


 その瞬間、ジョンは乱入者の一人に斬りかかった。敵と認識し、殺害を含めた方法で無力化するためである。まさに電光石火、問答無用の対応である。


 しかし、乱入者は二人。

 もう一人はジョンを無視し、テミスを切り殺した。



 そこで賊は宣言したのである。

 冒険者ギルドの敵対者であり害悪であるテミスを敵と認定し、排除すると。



 そこまでされれば他の面々も動き出す。

 ヤマト村の協力者は賊を相手に戦いを挑み、ジョンと共にこれを撃退する。


 ジャニスはその後すぐに報告の為、領主の元を訪れたのだった。





 テミスは領主の息子であり、グランフィストにおける重要人物である。

 最重要人物である領主に一枚劣るが、それでも寿命以外の死を許容できるものではない。ジャニスの同僚が教会に走り、蘇生を準備させている。

 蘇生に使う死体については≪アイテムボックス≫を使えるジョンが回収し運ぶ段取りになっている。


 数日は寝込むことになるが、テミスは確実に生き返るだろう。



 状況を把握すると、領主は深く息を吐いた。


「犯人はどうなっている? 黒幕は調べているだろうな?

 これで本当に冒険者ギルドの、あの男が犯人などとくだらぬことを言わないだろうな」


 領主はレッドを疑っていない。さすがにここまで愚かな行動をするとは思っておらず、今回の件で誰が得をし、何を成そうとしているのかと思考を巡らせる。


 そして問いをかけられたジャニスは、まだ何も分からない事を報告する。予測を立てられるほどの情報が無いのは彼も同じだ。犯人の片方を生け捕りにしたので、そこから情報を得る算段である。



 冒険者ギルドが得をしないことがはっきりしているため、ジャニスもレッドを疑ってはいない。

 だが、一時的に泥をかぶってもらう必要はあるかと、少しでも被害を抑えるように今後の予定を考える。


 グランフィストの混乱は、惨劇は始まったばかりである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ