ホブリン戦・終盤
基本的に、強力な指揮官に率いられた軍というのはその指揮官さえどうにかすれば何とかなる。
そしてここに出て来るモンスターの群れはその傾向が強い。
いわゆる、『~~キング』といった名前のモンスターに率いられているパターンがほとんどなのだ。
当たり前だが、そういったボスモンスターの周りは特に強力な連中が周りを固めている。ついでにボス自身も、自分の戦闘能力で群れを率いているという設定なのか、個体としてもかなり強い。
戦闘中に周囲の干渉や支援もあるので、簡単には倒せないのだ。
俺達はジョンを戦力の中核に据えているが、突撃隊長となっているのはレヴィアだ。彼女の突撃を防げるような大型モンスターが居ない以上は、自然とそうなる。
後で聞いた話だが、稀にボスが巨大モンスターに騎乗しているパターンも有るという。そして周囲を固めるモンスターまでそこそこサイズのモンスターに騎乗しているなどの「騎兵隊」が存在することもある。
他にも遠距離戦特化の群れもあるとか、敵の兵種はかなり豊富らしい。
レヴィアが敵の中核らしき場所を目指して突撃する。
すると森の中だったはずが、レヴィアの体格に見合った、横幅2mほどの幅の道へと変わっていく。
木々を吹き飛ばしながらという豪快な突撃である。
というのも、敵は木々を壁にするように動いているからだ。突撃の勢いを少しでも減少させたいらしい。
そして敵の行動はその成果をちゃんと発揮している。走っていたレヴィアも徐々に勢いを弱め、そのうち足を止めてしまう。
「グオォォォッ!!」
ただ、そこで≪魔獣の咆哮≫というスキルを使って周囲に圧力をかける。
これはドラゴンに限らず大型モンスターならだいたい取得できるスキルで、威圧することで敵の行動にマイナス補正をかけるわけだ。
正面の敵にしか効果が無いなど、ちょっとした制約があるので味方を巻き込まないようにするのが容易で、使いやすくていい。
突撃で出来た穴、スキルで怯んだ敵。
あとはボス部隊まで一直線である。
さすがに100に満たない規模では伝令兵などを使って遠くから指揮するような習性は無かったようで、ホブリンのリーダーかキングか知らないけど、倒すべき敵とその護衛まで何とか到達することに成功した。
遠くにいると、兵士に舐められるって可能性もあったかな?
それはともかく、俺達はボスを相手にする役と後詰めの兵を防ぐ役に別れてボス戦を始めるのだった。
俺?
もちろん後詰めをどうにかする方である。
ボスはジョンに任せた!