反省会
「それじゃあ、反省会をしようか」
ボス素材を回収し周辺警戒をミレニアの妖精に任せた俺たちは、先ほどの戦いの問題点を洗い出すため、反省会をすることにした。
議長は俺。
まずは一通り問題点を洗い出す。
「まずは自分の問題を挙げてもらおうか」
「私もイルも、全然攻撃を止めれませんでした。ターゲットを取るのが精一杯です」
「はい。運良く後衛に行きませんでしたが、スキルの効果も薄かったですね」
まずは前衛二人。
ティティとイルの騎士コンビは相手の移動を阻害する≪ブロック≫というスキルを使っていたが、あまり効果が無かったとぼやく。
TRPGの時は敵味方の前衛同士で正面からぶつかり合うシステムだったため、後衛に下がるのを止めたり前衛のマッチングを変えさせないために使うスキルだった。こちらでは相手の注意を引くような、ヘイト管理系のスキルに効果が切り替わっている。
脅威度が低かったのと相手の視認性の問題もあったのだろう、効果はいまひとつであったようだが。
「矢が届かなかったし、もうちょっと貫通力のある攻撃手段が無いとねー」
後衛その一。
弓兵のシャンドラは物理遠距離無効の≪オーロラバリア≫で攻撃がほぼ通らなかったことを気にしている。
俺としては敵のリソースを割かせただけでも問題ないのだが、本人は自分もダメージソースとして活躍したいと思ってしまうのだろう。少しどころかかなり落ち込んでいた。
「私は……特にありません。強いて言うなら、もっと遠くの敵を攻撃したいですけど、無理そうですから」
「私も特にないかな? 桜花ちゃんとの≪共鳴魔法≫の手段を増やした方がいいと思うけど、普段は組まないし?」
後衛その二その三。魔法担当コンビ。
二人は特に先ほどの戦闘で問題を感じなかったようだ。俺もそう思う。
決定力が不足しているとは思ったが、あれは俺の帰還を待って≪共鳴魔法:グングニル≫を使うためにわざと抑えていたからのようだ。ボスにターゲットを取られないようにする必要もあったので、あの場は待ちの戦術を選んだようだ。ちゃんと考えている。
「俺は最初、ティナの体当たりしか作戦を思いつかなかった事だな。もっと冷静に考えればピナのブレスを地上から使うって手段もあったんだし」
今回、ティナに無理をさせたのは俺にとって痛恨の極みだ。仲間の犠牲とは言い過ぎかもしれないけど、消耗を強いるにしてもそれが本当に必要だったかの判断が難しい。
相手がこちらよりも速かったために体当たりで動きを止めてからブレスという流れを組み立てたが、体当たりにしてももっとダメージを抑える方法があったんじゃないかと思う。
細かいことを言えば、相手が逃げに徹する可能性もあった。こちらと戦うために迎え撃とうとしたから体当たりという自爆戦術が通用したのであり、今後は空中戦で後れを取る可能性も考慮し、俺から何かフォローできないか考えていく必要がある。
……欲を言えばミサイルが欲しいな。魔法で何か再現できないかな?
それぞれが自分の問題点を言い合った後は、外から見た仲間の評価だ。
地力の足りなさはあるが特に問題がなさそうという結論に達して終わりだったが。
その後はどうすればもっと良くなるかという改善提案を行い、次の戦闘につながるように目指すべき場所、「~~を出来るようにする」という目標を考える。
PDCAサイクルは大事だ。
特にこんなハイリスクな戦闘は滅多にしないのだから、目標はしっかり立てておこう。




